色-2
「オフィスラブと仕事の両方が上手くいくように時間をかけて俺が教えてやる。
あんなに経管のあの3人に大切に育てられてる美鈴が
仕事に無理をしないような恋をさせてやりたい。
恋か仕事かなんて、悩まなくていいような恋をさせてやりたい。
そんなオフィスラブを、俺が!教えてやる」
あまりの大人の考えにびっくりした。
私は恋愛にそこまで考えられない。
「俺の腕の中で大人になればいい」
「うん」
「俺がヒールの高さなんかより、美鈴を大人の女に仕立ててやる」
「うん!」
私は安達さんの腕の中から一歩抜け出て
ポンと飛び上がって、安達さんの首に飛びついた。
安達さんは笑いながら
「大人の女はこんな事しないけどな」
うれしそうに私にキスをする。
そのキスが終わると、また意地悪く笑って
「家に帰るぞ」
そう言いながらタクシーを止める。
当たり前だけど、見かけで大人の女なんかになれるはずもなく
そんなことをしようとした私を
安達さんはきっと、しょうがないな、と笑いながら今日を過ごしてくれた。
私は今のままの私でいいんだ。
そして、そんな私を安達さんが大人にしてくれるといった。
もう、それだけで、なんだか大満足な気がする。
タクシーの中で、私は安達さんの手を離さなかった。