♥勝手に浮かんでくる男♥-2
あの“blue tears”での一件以来、あたしは天野くんとすっかりギクシャクしてしまった。
向こうがあたしを避けるのは仕方ないとは思う。
ハプニングとは言え、下着姿を見られたあたしに「大っ嫌い!!」と言われたのだから。
だから、天野くんはそれ以来あたしと目も合わせようともしない。
アルバイト中も、会話するのは業務上の最低限のものばかりだし、帰りの電車だって、わざわざあたしと時間をずらして帰るようになってしまった。
でも、そうなると、今度はこちらがやたら天野くんの事を気になってきて。
勝手に彼のことが頭に浮かんだり、アルバイト中もチラチラ目で追ってしまったり、声を聞くとソワソワ落ち着かなくなったり。
もー、こんなのあたしらしくないよっ!!
男に調子を狂わされることなんて今までなかったのに。
ましてや天野くんなんかに。
自分で自分にイライラしてきたあたしは、少し頭を冷やすため、
「……水飲んでこよ」
と、ベッドから降り立って、静かに自分の部屋を後にした。