第七章 姉の白い太腿-2
「痛っ!うぐうぅ…。」
「くっ!」
俺たちは、実の姉弟なのに結合してしまった。考えてみれば、最も近くに居る同年代の異性だ。なぜ今までその気を起こさなかったのかが不思議なくらいだが、その答えは自分の心の中にはっきりある。してはいけないことだからだ。それをしてしまった罪悪感は、後戻りのできない世界への甘美な恐怖となってモヤモヤと胸の中に広がっていった。
「う、ウワサほどには痛くないじゃない。」
姉さんが強がってそう言った。呻きながら。
「そ、そう?…俺、けっこう…キタんだけど。」
俺は正直に言った。
姉さんは俺にしがみつき、ゆっくりを腰をくねらせた。
「姉さん、ダメだよ、こんなの。」
「何言ってんの、自分だって腰振ってるじゃない。」
「だって…ガマン出来ないよ、こんなに気持ちいいなんて。」
「私もよ。だったら愉しめばいいじゃない!もう入れちゃったんだから。」
「ダメ、ダメだよ、姉さん。ああ…ダメ…うっ…。」
自分の欲情に理性が激しくブレーキを踏み込んだ。しかしそれはあっという間に燃え尽きて溶け落ち、歯止めの効かなくなった衝動に強い反動を与える結果となった。俺はもう、姉さんの中に自分をねじ込む事しか考えられなくなっていた。
「あんた…あんたね、実の姉になんてことするのよ、こんな…気持ちいい…ああ!弟のくせに。」
「熱い、熱いよ、姉さんの中の熱い壁がネバネバとまとわりついてきて、トロけそうだよ。」
「私もよ。ああ、熱い…まるで燃え盛る松明をムリヤリ突っ込まれたみたいに。突いて!もっと突きなさい。突き破って!」
「ああ、姉さん。姉さん、姉さん、これでもかーーー!」
「ああっ、それでもよ、ああぁあーーー!」
ついに、禁断の一線を越えてしまった。
「ぐはぁあーーー!」
「あうううぅ!」
重なり合って静止したまま、しばらく動けなかった。二人ともピクピク、っと腰を震わせながら。
俺はゴロリと回転して姉さんと並んで仰向けになった。
「ハア、ハア、ねえ。」
「ハア、なに?姉さん。」
「私たち、同時だったよね。」
「だね。」
「一緒に卒業したのよね。」
「姉弟揃ってね。」
「イェーイ!」
「イェーイ!」
「…。」
「…。」
「あは、あはは、アハハハハハハ!」
姉さんが急に高笑いを始めた。
「ど、どうしたの?」
ニヤーっと笑っている。
「私さ、弟とヤっちゃったんだよ。しかも初めてなのに。弟にイカされて最高に気持ちよかった。」
「後悔してるの?」
「違うよ、スッキリしたの。誰が好きだの嫌いだの、ウジウジしてたのがバカらしくなっちゃった。ありがとう、弟よ。」
チュ、と唇を合された。
というわけで、俺達は姉弟でありながら互いの初めての人となってしまった。すっかり忘れていた。いや、忘れたかったのに。
今また目の前にオトコのことで元気を無くした姉さんが居る。しかし、過ちを繰り返すわけにはいかない。どうしよう。
「もうやめようよ、あの時の話は。昔の事じゃないか。」
「なによ、ほんの五、六年前じゃない。」
「姉さん。」
「…ごめん、そうね、結局またオトコで失敗を繰り返してるし。」
肩を抱く力を少し強めた。姉さんは頭を預けてきた。髪はあの日と同じ匂いがした。
「ねえ、あんた、あれから何人?」
「三人…あ、このまえ四人になった。姉さんは?」
「分かんない。イケるのは全部イったから。」
姉よ、あなたは…かける言葉もない。
「ねえ、やっぱり、して…。」
「だめだよ。」
「してったら!アイツのことを忘れさせて!ほんの一瞬でいいからさ。あんたに抱かれてる間だけでいいの。ねえ…ねえ!お願い…。ううう…。」
姉さんはまた泣き崩れた。今の彼女に出来ることは一つしか無いようだ。
「分かったよ。でも、今回限りだよ。」
「ありがとう…。」
それなりに経験を積んできた俺達は、あの時はすっ飛ばした前戯もきちんと入れて、あの時とは比べ物にならないくらいにお互いを悦ばせ、感じ、駆け引きをして焦らし合い、最高の快楽を貪った。
「姉さん、上達したね。」
「生意気だぞ!人妻舐めんなよ。」
「いっぱい舐めたんだけど、人妻。」
「うん、スゴク良かったぞ、弟よ。」
「今回限りにする…んだよね?」
「あ、うん…。」
姉さんは静かに帰っていった。