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5センチの景色
【女性向け 官能小説】

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ゆっくりと3時に待ち合わせした横浜駅は
どこから人が集まったんだと文句を言いたくなるほどの人混みだった。

「中華街から、元町を見てランドマークに行こうと思ったけど・・・」

安達さんは私を見て小さく笑う。

「今日は無理だな」

天気もいいし、そのコースは私も好きなのに
なぜか安達さんは少し考えてから

「港の見える丘公園のローズガーデンで丁度秋バラが咲いてる時期だ。
そこでもいい?」

薔薇を見に行こう、なんて男の人に言われたのは初めてだ。

そんなデートはしたことがない。

私服の安達さんはスーツ姿の印象とは違って
いつもより若く見えた。

でもその分カッコよさが倍になって
薔薇を見に行こうか、なんて・・・ずるい。

横浜に住んでいるくせに
港の見える丘公園のほうにはなかなか足を延ばさない。

その名の通り、横浜の港の丘の上にある公園は
港が一望出来て、晴れた今日は最高の見晴らしだった。

西洋薔薇の多くは横浜港から日本に広がったらしく
横浜の市花で、今の時期は丘全体が薔薇に包まれているように咲き誇っていた。







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