景-4
「予約してくれたんですか?」
「どうせなら夜景をとことん楽しもうと思って」
うん。楽しんでいます。
とことん、楽しんでいます!
料理とシャンパンが運ばれてきて。
乾杯したシャンパングラスには、その向こうの夜景が光っていた。
「で?足は平気?」
少しいじわるそうな顔で、笑いながら聞く
「え?」
「その靴。履きなれてないだろ」
せっかくおしゃれして履いてきたヒールの高い靴は
安達さんにはお見通しで
「・・・・」
何も言えない私に
「俺とのデートで無理させてなきゃいいんだけど」
グラスのシャンパンを飲み干した。
「だから?」
「ん?」
「だから、中華街に行くのはやめたんですか?」
「まぁ、ね。あのコースはどうしても歩くからな」
会ってすぐに、私の足元からコース変更までしてくれるんだね。
「ごめんなさい」
「謝ることはない。俺のためのおしゃれだろ?」
私の髪をひと房とって、その髪にキスをする。
「薔薇も楽しかったよ」
髪を離して私の頭に軽く手のひらを当てて
そっと引き寄せたほほにキスをした。