景-3
この山下公園からランドマークまで
歩いても行かれる距離だけどわざわざ横浜湾をクルージングしようという。
あっという間に暗くなった辺りに紛れ
ずっと手をつないだまま、シーバスに乗り込んだ。
見慣れた山下公園を海側から見て、マリンタワーやホテルの灯りを楽しむ。
「港を海から見るときれいですね!」
「ああ。今日はありがとう」
ありがとうって・・・
私のほうがありがとうなのに。
赤煉瓦のライトアップやベイブリッジを眺めて
いつもとは違う横浜を楽しんだ。
何もかもがキラキラと光り輝いていて
それを見た私の瞳もきっとキラキラしてるはずだ。
海風に揺られて、横浜の海を満喫する。
こんな素敵なデートは初めて。
あっという間の20分だった。
ぷかりさん橋で降りて、ほんの少し歩いてランドマークへ向かう。
69階で、今まで通ってきた横浜港一帯の夜景を眺める。
東西南北に横浜を見て
会社を見つけて二人ではしゃいだ。
「この前、美鈴と一緒に帰らなかったら
こんなきれいな夜景は一生見ることがなかったな」
そんな風に言うけど。
安達さんなら、これから先のだれかとのデートで
ここに来ていますよ。
自分のデートの最中に、次かその次の彼女のことを思って
少し寂しくなった。
そのまま、スカイカフェに入って
壁一面のガラス窓のほうを向いたカップルシートに通された。
目の前には夜景しかない。