の-2
「重要な会議はなるべく同行させてもらってるだろ」
言われてみれば。
「仕事だって、俺の時より段階を踏んで教えてもらってるよ」
えっ!山崎さんの時にはもっと強引に仕事を覚えさせられたんですか?
こ、これで段階を踏んでるんですか?
恐るべし!あの3人!
「高橋さん土日出勤したことないだろ?あの3人が、させないんだよ」
「え・・・」
「土日に出勤しなくていいような仕事を割り振ってる」
「うそ・・・」
「ここは確かに忙しいし、高橋さんも同期に比べると残業も多くて
理不尽だと思うことも多いと思うけど、3人はここなりに
大切に高橋さんを育ててると俺は思うよ」
「・・・・」
気が付かなかった。
自分にいっぱいいっぱいで、気が付かなかった。
「そんな高橋さんが彼氏を社内で作ったもんだから
気が気じゃないんだろ」
山崎さんはニヤニヤしながら3人を眺めた。
「俺の時には散々オモチャにしたくせに・・・
高橋さんの時は心配でしょうがないんだな」
「何ニヤニヤしてんだよ!山崎。仕事しろ!」
山田さんが急にこっちを見て声をあげた。
「はいはい」
「はいは1回だ」
「はーい」
「さ。これが今日の仕事。あの3人も落ち着いたら仕事を振ってくるだろ」
「はい」
私はいつまでも話の終わらない3人に嬉しくなって
山崎さんから振ってもらった仕事に着手した。