投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

とある特攻隊員の恋
【姉弟相姦 官能小説】

とある特攻隊員の恋の最初へ とある特攻隊員の恋 9 とある特攻隊員の恋 11 とある特攻隊員の恋の最後へ

約束-3

朝起きて部屋を覗いた早苗は二人がいない事に気づいた。もしかしたら二人は駆け落ちしたのでは・・・早苗はそう考えた。家族にその事を話すと家族はなにも言わなかった・・・・みんなそれならばそれでもいいと思った・・・・例えほんの少しの間でも二人が幸せでいられるならそのほうがいいのではないか・・・・そう思った・・・・そんな場所が今のこの国にはないという事がわかっていても・・・・ほんの少しでも二人が幸せでいられるならそのほうがいいと考えていた・・・・例え二人が一緒に死ぬ事を選んだとしても、もしかしたらそのほうが二人には幸せなのではそう思ってさえいた・・・・
そんな時
「ただいま。」
航とゆかりの声がした。
「どこへ行ってたの?私達はてっきり・・・・」
叔母が言うと
「どこへって・・・・ちょっと朝早く起きちゃったから散歩してただけだよ。てっきりって?」
航が不思議そうに聞くと
「ううん・・・なんでもないわ・・・・朝ご飯にしましょう・・・・」
祖父母と叔母は台所に歩いて行った。
「ねぇ?本当にいいの?」
早苗が二人に聞いた。
「何が?」
航がとぼけると
「みんな知ってるよ・・・・昨夜なにがあったのか・・・・本当にいいの?」
「いいんだよ・・・・これで・・・・」
「でも航君は!」
「だからさ!昨夜の事はみんな夢だったんだ・・・・」
「ゆかりちゃんはそれでいいの?」
「仕方ないじゃない・・・・航は弟なんだから・・・・今度生まれ変わった時は姉と弟としてじゃなくて一人の女と男として愛し合いたいけどね・・・・」
「来世でも絶対に姉さんの事を見つけるから!」
「うん・・・絶対に私を見つけてね・・・・」
見つめ合っている二人を見て
「お取り込み途中申し訳ないけど・・・・朝ご飯の準備が出来たんだけど・・・・」
叔母が話しかけると、二人は真っ赤になって俯いた。

「私達は見送りには行かないから・・・・」
駅まで航を見送りに行くのはゆかりだけになった。
「おじいちゃん、おばあちゃん、叔母さん、そして早苗姉、行ってきます!」
そう言った航は、その面影に幼さを残しているが、凛々しい青年の顔つきをしていた・・・・
「必ず帰って来てね・・・・」
早苗は目に涙をためていた・・・・
「必ず帰って来るよ!」
そう答えた航に
「約束!」
早苗は小指を差し出した。航はその小指に自分の小指を絡めると
「必ず・・・・ゆかりちゃんのところに帰って来てね!約束よ!」
「わかった・・・・約束するよ・・・・」
航はその約束が果たされない事はわかっていた・・・・わかっていたが早苗の心遣いが嬉しかった・・・・
「それじゃ・・・・」
航はそう言って家を出た。駅までの道を誰に憚る事なく二人は手を繋いで歩いた。
「ここでいいよ!」
駅近くで、航は明るい笑顔を見せてゆかりに言った。
「えっ?駅の中まで・・・・」
ゆかりが言いかけると
「これ以上は未練が残るから・・・・」
ゆかりの顔が暗くなった・・・・
「それじゃ・・・逝くね・・・・」
航はあえて帰るという言葉を使わなかった・・・・
「うん!」
ゆかりは航の想いがわかるが故にあえて明るい笑顔を見せた・・・ゆかりに背を向け駅に向かって歩いて行く航の後ろ姿に、ゆかりは笑顔で手を振り続けた・・・・いつ航が振り返ってもいいように・・・・

航を乗せた汽車が駅を離れて行くのを見て初めてゆかりの頬に涙が零れ落ちた・・・・

「航ぅ・・・航ぅ・・・・死なないで・・・・死なないで航ぅ・・・・」
それまでずっと堪え続けていたものが壊れゆかりはその場に座り込んで泣き続けた・・・・


とある特攻隊員の恋の最初へ とある特攻隊員の恋 9 とある特攻隊員の恋 11 とある特攻隊員の恋の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前