僕が僕で在るために。〜マーク・ハント〜-1
元K-1王者のマーク・ハント。
決勝戦でバンナを敗り栄冠に輝いた彗星のように。
これから書く話は彼の苦悩と挑戦の中の葛藤である。
敗北を知り、すべてを失った。
正確にはあの時のおれは
失った気になってしまったんだろう
だからこそ
僕が僕であるために
勝ち続けなきゃいけない。敗けが許されないこの世界で。
拳を振り上げ獲たものは一体なんだったのだろうか。
強さって何なのか。
正しいものは何なのか。
何もかもが夢中だった。
夢のようだった。
掴んだはずのそれがこの胸にわかるまで。
弱さ吐き出して
心すれちがう
背負ったモノの重さがジワジワとのしかかる。
悲しい背中に。
だけどこの目に映るこの世界でずっと生きて往かなければ。
触れるものは多くもないけど、優しさを教えてくれた貴女がいるから。
壊してきたモノは沢山ある。
夢も将来もみんな。
この拳の重さを感じる。
闘い続けなきゃならない。人を傷つける事に
痛みを感じなくなるけど。
優しさを口にすれば
闘いを避けられるかもしれない。
だけど
僕の証明。
僕が僕で在るためには
闘い続けなきゃならない。
欲しいモノを求めてきて
不意にすべてがわからなくなるよ。
人は皆傷ついてゆく。
傷が強さの源になる。
この汚れた街の一夜の煌めきのために
少し慣れて心許しながら
頬を吹く冷たい街の風に
今も歌い続けている。
ずっと歌い続けていく。
答えがわかるまで。
掴むまで。
届くまで。
旅立ちの朝が来た。
君に
別れ際にもう一度。
確かめておきたいことがある。
こんなに愛していたことを
傷の舐め合いじゃ心癒せない。
馴れ合いの中に真実はない。
明日さえ今の僕にはわからないから。
だから。
僕が僕で在るために。
すべてを投げうっても。
僕が僕で在るために。
僕で在るために。