出会い-1
私は、リドルという国の王子アスラだ。
しかし毎日、退屈な日々。
今日も、隣国ゴルパーダで会議とかパーティーとかあるんだそうだ。
親父の付き添いで、遊びに来てるんだが、暇をもてあましていた。
いつも、ゴルパーダの王子アルティアと、女の話をして過ごしてる。まぁ、楽しくないわけじゃないが、ちょっと趣味が合わない。
長い廊下、ダルそうな王子が窓から眩しい空を仰ぐ。
下では騎士が、剣の訓練をしてる姿が見える。
ふとその中の一人に目が止まる。
綺麗な顔立ちをしているが、腕の立つ騎士のようで、剣の指導をしている。
アスラがニヤリと笑う
「面白いもんをみつけた。」
アルティアが
「なになに?」と聞いてくる。
「アルティア、そういえば前に、俺の国の女を紹介しろって言ってたよな」
「おーその話か。俺の国の女は似たり寄ったりでつまらん。前にお前の国の女を見たときは、興奮したぜ。早く連れてこいよ」
「今すぐ国から呼んでやる。そのかわり、あそこにいる、あの騎士を俺にくれないか」
「え、シルキアのことか?お前、男を相手にするようになったのか。顔立ちはいいが、さすがに。。」
アルティアがドン引きする。
「ちげーよ。あれは。。。女だ。」
「はぁ?まさか。そんなわけないだろう。あれでも隊長クラスの騎士だぞ。女がなれるわけがない。それに女は騎士になれない決まりだ。嘘をついて、城に潜り込んでるっていうのか。」
「そういうことだろうな」
ニヤニヤとアスラは笑う。
「アスラは物好きだな。男みたいな女が好きだなんて。まぁ、国に嘘をつくような騎士はいらないから、別に構わんがな。」
「あいつが女だってことは黙っておいてくれないか。先にあいつと二人で話させてくれ。」
「あぁ、わかったよ。」
アルティアが、側近にあの騎士を呼びに行かせる。
場所を移動し、部屋で待っていると、ノックの音が響く。
「どうぞ」
と声をかけると、鎧姿のあの騎士が姿を表した。
アスラは姿を見ただけで、ゾクッとした。
その騎士はドアの戸を閉じると、離れたところで話はじめた。
「お初お目にかかります。第4隊、隊長のシルキアと申します。アスラ様、お話とはなんでしょうか?」
「お前、俺の国に来ないか?」
「え?」
と、おどろきの言葉に硬化する。
「俺は、お前が気に入ってな。おれの女になれって言ってるんだよ」
シルキアが動揺するのがわかる。その顔に出るところが、よけいにアスラの興奮を誘う。
「なっなにを言ってるのですか、私は男。アスラ様の嫁にはなれません。私をからかっていらっしゃるのですか?」
動揺を隠そうとしているが、明らかに視線がどこかにウロウロとしている
。
「ほほぅ、そなたは男だったか。ならば、今ここで上の服をすべて脱いでくれないか。そうすれば納得し、引き下がろう。」
そういうと、シルキアはうつむき黙ってしまった。
アスラは、ニヤニヤと笑わずにはいられない。
動けないシルキアを見て、よけいに確信していく。
「仕方ないな。俺が手伝ってやろう」
そういいながら、アスラはシルキアに近づいていく。
それに気づいたシルキアは、とっさに深くお辞儀をした。
「申し訳ありません、アスラ様。」
「それは、どういうことかな?」
シルキアが少し黙る
「私は、、、確かに、男ではありません。申し訳ありません。皆には内緒にして下さいませんか?」
動揺と焦りが混じって、声に少し女が混じる。
それがまた、アスラをそそる。
「大切な友人の国や、私に、嘘をついておきながら、そんな頼みをしてくるとは、ずいぶんと図々しい奴だな。」
そう言われて、シルキアが体をビクッとさせる
そんな反応がアスラにはたまらなかった。
「お前の対応次第では、見逃してやらんこともないがな。」
シルキアが驚き、顔を上げる。
「本当ですか?」
俺が興奮しないような行動が、シルキアにできるとは思えないけどな。と心の中で嘲笑う。
「まぁ、少し話そう。座れ。」アスラが外のメイドに茶を頼む。
そして、シルキアをソファーに促す。騎士は自分より身分の高い人とのお茶は出来ないのだが、アスラの言葉が拒否を許さない。
茶が運ばれたあと、部屋は二人きりになる。
アスラの評価は、あまりいい話を聞かないので、何をさせるのかと、シルキアは内心怯えていた。
「なぜお前は男のふりして騎士をしてるのだ?」
突然、事情聞かれて、思ったより悪い人じゃないのかもと、シルキアが少しホッとし、そして話始める。
「私には、病気がちな弟がいます。名前はルイス。
そのルイスの薬代を稼ぐのに騎士になりました。運動神経には自信がありましたし、一番お金が手に入りますので。。」
「体を売れば良かったじゃないか」
「そっそれは、騎士よりは稼げないですし、私には向かないように思えました。」
「なるほどな。では、再度言うが俺の女になれ。金は今より出してやる。」
「。。。申し訳ありません、私には出来ません。ここで騎士としての役目がありますので」
シルキアの体と声が震えているのを感じ、アスラはゾクゾクするのを押さえられない。
「そうか。残念だ。まぁお茶を飲めよ。」
そう言うと、シルキアはホッとして、お茶を一口飲んだ。
とたんに、睡魔が襲う。
「本当に残念だ。皆にこの事は内緒にして、我が国に来てもらおうと思ったのだがな、仕方ないな。」
そんなアスラの声がする。
シルキアは、睡魔に襲われながら、「卑怯もの!」と声を絞り出した。
アスラが
「あーはっはっは!」と高笑いしたのが聞こえた。