セ-1
安達さんは私がキスした唇の端を舌でなめた。
「なに?俺と『おふぃすらぶ』したいの?」
オフィスラブを何とも嫌味っぽくゆっくりと発音する。
「安達さん、恋人か・・・奥さんはいますか?」
「いや。生憎両方いない」
そう言って妖しげに笑う。
「じゃぁ、問題ないじゃないですか」
「俺の気持ちが1番の問題じゃないの?」
くすくす笑いながら、相変わらずひんやりして大きな手は
私の頬をなで続ける。
「お互いにこれから好きになればいいんですよ」
「ふ〜ん」
「中高生じゃないんですから!お互いに初めから大好きMAXで付き合い始める男女なんかいないんじゃないですか?」
「へ〜。大人の恋をよくご存じで」
また・・・
バカにしたように私を子供扱いして!
「知ってるか?大人の恋はセックス抜きじゃ始まらないんだぞ?」
頬にあった手が、再び耳たぶに戻ってきて。
親指と人差し指で、耳たぶをもてあそぶ。
「知って・・る、と思います」
「思う、じゃ困るな。これから大人の『おふぃすらぶ』をするんだろう?」
「・・・んっ」
耳たぶをもてあそんでいた指で髪をからめとって耳にかけた。
露わになった耳にそっと顔を近づけて
「抜けるぞ」
聞き取れないぐらいの小さい声で囁いた。