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5センチの景色
【女性向け 官能小説】

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「え・・・?」

「このまま化粧室に行って・・・座敷に戻ったらカバンを持って外に出ろ」
「でもお金っ」
「そんなの、男といる時にオンナは気にするな」

ニヤッと笑って「永田!」
と、経理の永田さんを呼んだ。

私がトイレから座敷に戻ると、すでに安達さんはお店を出た後で
「ごめん。疲れたから帰るね」
と、私もお店を後にした。

急展開にドキドキする暇もなくて
10分前の自分からかけ離れた状況に、ほろ酔いの頭は付いて行かない。

いくら忙しくても、同期の間でカッコいいと噂になっている安達さんの存在は
私でも知ってて。

その安達さんと話したばかりか
一緒にお店を抜けようとしているなんて

何この展開!

合コンなんてどーでも良いぐらいの展開なんですけどっ!

お店を出ると少し離れたところで、
安達さんが電話をかけていた。

そのままそっと傍によると
「その案件、明日休出して確認するよ。メモを残しておいて。
バグはそのままにして置いていい。俺が処理する」

まだ・・・システムは残っている人がいるんだ。

スーツを着こなして、仕事の電話をしながら
私を見て微笑む男は
今まで学生の恋しか経験のない私にとって
初めての「大人の男」だ。

「分かった。お疲れさん」
そう言いながら、近づいた私の髪をクシャッとする。

もうっ!

私はムッとして両手で髪を直す。





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