終章 さがしもの-1
病気療養、という名目で学校を休んでいる事になっていた私は、以前と変わらない生活に戻った。私を心配して声をかけてくれるお友達は大勢いるが、本当のことを言えるはずもない。カラダに深く鋭く刻まれた倒錯の欲情を、自分の指先だけでどこまでなだめることが出来るか分からないが、こんな私を受け入れてくれるパートナーを見つけるまでは耐えるしかない。
気が付くと、私が誘拐された雑貨店の前に立っていた。中には入らないで、入り口から奥をながめていると、ふいに後ろから声を掛けられた。
「お探しの物は見つかりましたか。」
私は振り返らないで答えた。
「ええ、たった今。」
「そうですか、それは良かったですね。」
「はい。でも、もう会えないのね。」
「うん。分かってるんだね、コイツめ。」
「だって私たち、親友でしょ。」
背後の気配は、いつの間にか消えていた。