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xxxHOLIC+〜憂鬱来て〜
【二次創作 その他小説】

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xxxHOLiC+〜憂鬱来て〜(後編)-1

「ここは何のお店なの? 黒魔術で使う道具を売ってる店? それとも占い?」
ハルヒは目を爛々に輝かせ屈託のない笑顔を浮かべている。
ハルヒがこの顔を見せるとき、何かよくない事が起こる事をキョンは知っている。
「どんな願いでも叶える店。 ただし対価は頂くわ」
侑子は煙草を一息吸った。
「こうやって侑子さんの毒牙にかかっていくんだ…」
「聞こえてるわよ」
四月一日がこちらを覗いている襖を指さして語尾に力を入れて侑子は言った。
「で。あなたは何を願うの?」
「それは」
ハルヒは椅子の上に立ち上がり人差し指を高らかに挙げた。そして一言。
「宇宙人。 未来人。 超能力者。 異世界人。 を探して一緒に遊ぶ事」
キョンは、『はぁ』とため息をついた。
「で!できるの?できないの? どっちなの!」
いまにも噛みつかんばかりにハルヒは侑子ににじりよった。
「わかったわ。 その願い叶えましょう。 ただし対価をいただくわ」
「なに? 私に払える対価なら何でもいいわ」
「あなたの料理が食べたい。 作ってくれたら叶えてあげるわ」
侑子は微笑を浮かべ言った。
ハルヒは拍子抜けしたのか目を二三回瞬きさせて
「そんなのでいいならお安いご用よ! キョン買い出しにいくわよ!」
ハルヒがキョンのネクタイを掴んで引っ張っていこうとした。
「待ちなさい。 彼はここに居なくてはダメ。 連れていくなら。 そうねぇ、そこから覗いてるバイト君と行って来なさい」
「ちょ、何で俺なんすか?!」
侑子の瞳は奥が深く、ハルヒはいわれるがままに嫌がる四月一日を引き連れて出ていった。

「さて、そろそろ本題に入りましょうか」
「本題って。 俺はたまたまハルヒに連れられて来ただけで…」
侑子の目が細まる。
「この世にはね偶然はないの。 あるのは必然だけ」
侑子の細い指がキョンの顎に添えられる。 思春期の健全な男子高校生のキョンにとってはドキドキものである。
「あの娘の願い。もう九割がた叶っているわね。 あの娘は気付いてないみたいだけど」
キョンはさらにドキっとした。
「宇宙人。 未来人。 超能力者。 あなたにも心あたりがあるんじゃないの?」
「わかるんですか?」
「わかるわ。 それも必然だから。まあ今日、あの娘の願いが叶ったわけなんだけど」
侑子がゆっくりと笑った。
「叶った? まだ異世界人とは遭遇していませんが? ……まさか」
キョンは平然を装って立ち上がった。
「あなたが異世界人だとでも言うのではないでしょう」
「いいえ。私は異世界人ではないわ。 ここではあなたが異世界人」
キョンは我が耳を疑う事にした。
「え。 な、何ですって?」
「わからない子ね。だからここはあなた達が居た世界とは別の世界なの」
キョンは力なく椅子に座った。とうとう異世界まで体験してしまったとうなだれた。
「パラレルワールドって知っているかしら? 平行世界。 それとは少し違うんだけどね。 もう世界の成り立ちが根底からちがうのよ。それこそ創造主が違うの、だからすんなり両世界を行き来することはできないの」
「じゃあどうして俺達はこっちの世界にこれたんだ?」
「あの娘がそう望んだから。 あの娘はあなたを連れて来るときになんて言っていたかしら? 『へんなお店を見つけたから』 そんな感じの事を言ってたんじゃない? それはあの娘だけが先にこちらに一回来て、さらにあなた達の世界へ帰った。 こっちの世界は平行世界とつながる事がよくあるから、たぶんその時にできるわずかな歪みを利用して両世界を無理やりくっつけたのね。 本人は無意識の内にやったみたいだけど」
キョンはさらに力が抜けるのを感じた。


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