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元人妻との恋
【フェチ/マニア 官能小説】

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あの人の街-1

朽ち果てた空き缶が灰皿のように道端に転がっていた。時刻は既に帰宅ラッシュの時間に差し掛かっていた。BARを出た私は酔いを醒ますために通路に面したカフェでエスプレッソを飲みながら道行く人波を眺めていた。10年前とさほど変わらない住人達だった。ママチャリの前後に子供を載せれる籠を乗せてスーパーに向かう母親達や学校帰りの真面目そうな中高生と、この街らしい如何にも一人暮らしと分かる孤独そうな老けた若者の街だった。

「変わらなく寂しい街ね」

哀愁漂う街並みに独り言を呟いていた。多分、もうあの人は住んでないだろう。今も住んでいたら41歳になっているはずだ。41歳で住むにはあまりにも寂しすぎる街並みだった。気の利いた渋い居酒屋もなければ、馴染みになれるだろうスナックも見当たらない。あるのは家庭向け大型スーパーと若者向けチェーン店ばかりだ。下町っぽさが全く無い中途半端に造られた街だった。元々漁師町だった街が昭和に大開発したテーマパークのおかげで潤ってしまい当時の人情は完全に崩壊してしまった街だった。地方から出てきてちょっと住むには良いかも知れないが、独りで長く住むには孤独しか見当たらない街だ。私は深い溜息を吐いて早くこの街から離れようと席を外し、地下鉄に逃げるように向かってしまっていた。

都心に向かう上りの車内は、これから都会に向かう隣の県からの若者が、孤独な街から乗り込む乗客を無視するかのように無邪気に騒いでいた。私は車窓の遠くに映る東京湾とその向こうに僅かに見える海ほたるを見つめながら、ひっそりと地下に潜る地下鉄に寂しさを感じ真っ暗な車窓に映る自分の姿から目を逸らすように目を閉じて今日の出来事を忘れるように暗示をかけていた。


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