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ベクトル。
【悲恋 恋愛小説】

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ベクトル。エピローグ-1

確かにそうかもしれない。あなたがいなくなって私はショックだったけど。私も、この場所も、今じゃ何もなかったかのように穏やかだ。いつか私はまた恋をして、ちょうどお酒を呑んでるときにあなたの話しをして、大切な思い出だなんて言っちゃって。それでいいんだろう。いつか人はいなくなる。なら。きっとちょうどいいタイミングだったのかもしれない。でもきっと忘れない。私が運よくお婆ちゃんになって、最後に思い出すのはきっとあなたのこと。もしもあなたを忘れたときは、それは恋を忘れたとき。あなたの手はあったたかった。あなたの目はとても深くて少し寂しくて。あなたの声はやさしかった。私はあの世とか幽霊とか神様なんて信じない。あなたがそう言ったから。わたしもそう思う。あなたはもういないけど、まだ私の手はあなたの手を握ってる。ずっと。ずっと。


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