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憑依("うつせみ"から改題)
【SF 官能小説】

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緊縛緊迫禁忌禁断-7

 「例えばそこにも一人。」
 「娘娘?」
 「白いジャージの。」
 「え、青ちゃん…。」
 おいおい…。
 「ね、兄さん、お話もういいかしら。私もう、ガマン出来ない。」
 「いいよルナ。さあおいで。」
 「ああ、兄さん!」
 ルナが体重をかけてきた。俺はズブズブと飲み込まれ、熱く粘りつくような壁に包まれた。
 「ああ、兄さんが私の中に居る!カラダは自分のものじゃ無いのに、はっきりと感じるの。」
 「俺もだよ、ルナ。オマエの中で抱きしめられている!」
 ルナは腰を動かし続け、俺は彼女を引き寄せ、揺すり、突き上げた。
 「ああ、兄さん、兄さん…この時をどれだけ待ち焦がれたことか。」
 「ああ、ルナ。俺もだよ。初めて会った時から、オマエを抱きたくて抱きたくてしょうがなかったんだ。さあ、覚悟しろよ。」
 「来て、私の中に…。」
 「行くとも、ルナの中に。」
 「兄さんが…うう…私の中で暴れている…。」
 「ルナに咥え込まれて…おお、振り回されている…。」
 二人は互いを慈しみあいながら悦びの階段を駆け上がっていった。そして。
 「あーーーー!」
 「くうううー!」
 二人は同時に果てた。全身を駆け巡る快感の痺れに震えながら。
 乱れきった息を整えながら、俺は大事なことを忘れているのに気が付いた。
 「あ…。」
 「何?兄さん。」
 二人はスルリと憑依を解いて、今まで入っていた社長とミユキちゃんに向き合った。
 「なあ社長さん。俺たちをこれからどうするつもりだ?オマエの悪事に加担するのはお断りだぞ。」
 「そうね。私ももう、こんな世界からは…。」
 四人で睨み合った。ハダカで。それはどのぐらい続いたのだろう。
 ふ、っと脱力しながら社長が言った。
 「好きにしろ。」
 「え?」
 「いいんですか?社長。」
 「いいわよ。ねえ、あなた。」
 「ああ。力ずくではオマエらには敵わないし、その気がないヤツは使い物にならん。」
 俺はルナと顔を見合わせた。彼女も同じ考えのようだ。
 「それじゃあ俺たちは旅に出るよ。」
 「ほう、何処へ?」
 「分かりません、社長。でもきっと。」
 「そうだな、会えるはず。」
 「誰に会えるの?」
 「まだ見ぬ兄弟たちだよ。」
 社長とミユキちゃんが少し俯いた。固く口を結んでいる。
 「…そうか。なら、一つだけ言っておく。兄弟が必ずしも味方とは限らない。それだけは覚えておけ。」
 彼らの真剣な表情から、それが如何に重い言葉であるかが伺い知れた。
 「私も行くー!」
 え、娘娘?
 「なんでオマエが俺たちに着いてくるんだよ。」
 「だってーそっちの方が面白そうだもん。ね、お願い!社長。」
 「うーん、そう言う者を引き留めてもしょうがないか。いいよ、行きなさい。」
 「ありがとー!社長。お礼に胸、見せちゃう。」
 「いやいいよ、娘娘。だってお前、オレのこの体よりかなり年上…」
 「はいどうぞー!見てみてー。」
 「いいってば…。」
 「私も行っちゃおうかな!」
 あれ、青ちゃんじゃないか。いつの間に戻って来てたんだ。
 「おいおい、勘弁してくれよ。青ちゃんにまで行かれたら、仕事回らないよ。」
 「面白そうね。私も入れてよ。」
 「妻よ…。キミはまた俺を置いて放浪するというのか。」
 俺はなんだかカラダも気持ちも暖かくなってきた。
 「おお、楽しそうだな!ようし、皆で行こうぜ!」
 「うん。どこまでも一緒だよ、兄さん。」
 「いえーい!」
 「ね、みんなお揃いのジャージにしない?」
 「私がついてるわ。安心なさい。」
 しょぼくれていた社長が急に声を張り上げた。
 「よっしゃあ!俺も行くぜ。よろしくな!」
 「却下。」
 「社長、会社どうするんですか。」
 「胸見なかったくせに。」
 「ジャージ似合わなそうだからダメ。」
 「あなたとはもう終わったの。またいつか始めるけどね。」
 頭を抱えてヘタリ込んだ社長を残し、俺たち五人はドアを開いて外に出た。


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