緊縛緊迫禁忌禁断-6
「…あ、じゃあさ、俺のおやじとかあさんは?」
俺は無理矢理話題を変えた。
「彼らは実の息子と思ってたわ。亡くなるまで。」
俺は怒りというよりも切なさで胸がいっぱいになってしまった。あんなにも俺を可愛がって育ててくれた両親にはもう会えない。
「でね、話は戻るんだけど。」
俺の実の母であるミユキちゃんが実の父、社長を促した。
「もう気付いてるかな?オレだけでなく、コイツも7なんだよ。だからオマエたちは言ってみればサラブレッドだな。でも、残念ながら7を超えた能力を見せる気配はなかった。そこで近親相姦作戦というわけなんだけど、それは失敗した。でもオマエたち兄妹が揃えば、無理にエッチさせなくても凄まじい力を発揮することが分かった。というわけで、目的は果たせたんだ。」
「…勝手なこと言うなよ。オリジナル7だかオリジナルブランドだか知らないけどな、他人の体や心を弄ぶなんて。人でなしじゃないか。」
社長は少し考えてから話し始めた。
「そうだよ、人でなしさ。他とは違う能力を持って生まれた。だから、他とは違う生き方しか出来ない。それが、オレたち憑依者なんだ。」
しーん、と静まり返ってしまった。
「あれ、皆でなにしてるの?」
青のアスタルテがドアの外から覗いている。いつもの白いジャージ姿だ。右足の太ももの所には大きな猫のプリントが入っている。
「何、っていうか…。」
ルナが口ごもる。
「ああ、サプライズパーティの相談ね!残念、私に見つかっちゃったから、サプライズ失敗。やーい。」
「何のパーティだよ。」
「あ、君も来てたんだ。しかもハダカで。何のかくし芸?見せてよ。いや、もう見せてるよ、なんてねー。隠してないのにかくし芸!っていうか、黒ちゃんもハダカじゃない。そうか!公開エッチね?」
まあ、そうとも言えなくもないが。
「いやあ、バレちゃったかぁ。そうだよ、青ちゃん。パーっと宴会でもしようと思ってさ。そうだ、幹事やってよ。とびっきり派手なヤツよろしく!」
「ええー、社長からの業務命令とあらばしかたありませんなあ。謹んでお承り仕り早漏は気合いでなんとかならないものか。」
青のアスタルテはどこかへ走り去った。
「ねえ、兄さん。」
「ん?」
「エッチ出来そうな相手、居なくなっちゃったね。」
「そうだなあ。」
「でも、私でよければ…。」
「妹。」
「私はどうかしら。」
「母。」
「オレは?」
「父。」
ドアの方を見てルナがつぶやいた。
「青ちゃんは?ナイか。」
「なくはない、かな。」
「え、そうなの?」
「あんなんだけど、根はいい子じゃないかなあ。明るくて楽しそうだし。エッチはどうだか知らないけど。」
「意外とイケるわよ。」
「み、ミユキちゃん、まさか…。」
「ふふ、ちょっと誘ったら、のってきたの。たっぷり可愛がってあげたわ。」
「母親のお下がり…。」
「私、義理でもあの子と姉妹はちょっと…。」
「じゃ、私はどうですかー?」
予想外の方向から黄色い声が飛んできた。
「ああ、紫の娘娘ちゃん。」
若すぎるよなあ。犯罪だろ。
「十八歳未満はダメだよ。」
「大丈夫ですー。」
「何歳なの?」
「ボソボソ…。」
「うげっ…。」
犯罪じゃなくて詐欺だった。
「兄さん、私たちってやっぱりしちゃダメなのかなあ。」
「知らなかったならともかく…今となってはそれはムリだろ。」
「でも…。」
俺だって正直言えば、ずっと憧れを抱いていたルナさんとそれが出来たらなあ、って思う。でも。
「社長!何やってるんですかー?」
娘娘ちゃんの視線の先には…いつの間にか社長とミユキちゃんが全裸でベッドに上がっていた。
「何、って、なあ?」
「うん。あなたたちがとっても優秀だから、あと一人二人三人ぐらい行っとこうかしら、って思って。」
ルナと目が合った。二人ともニヤーっと悪い顔をした。
「え?」
「おい!」
俺は社長に、ルナはミユキちゃんに憑依した。
「やめてくれよ、もう降参したじゃないか。」
「そうよ、ルナまで。記憶改変への仕返し?」
「フフフ…。」
「エヘヘ…。」
俺、つまり社長のカラダがベッドの上に仰向けになった。そこにルナが入っているミユキちゃんがまたがった。
「え、オレ下なの?っていうか、オマエら親のカラダで何するつもりだ。」
「訊きます?それ。決まってるじゃないですか、社長。」
「いいじゃない、あなた。子供たちの成長を見てみましょうよ。」
「親に見られてるの分かっててしたいヤツなんかいるかぁ?」
俺もルナもニヤリと笑った。
「いるんだなあ。ここに。俺、親に見られてるのをガマンしてでもルナとしたいんだ。」
「私も…どうしても兄さんと…。」
社長もミユキちゃんも、やれやれという顔をしている。
「わかったよ。カラダ貸してやるから、好きなようにヤリなさい。」
「そうね。以下同文。」
俺は念のため確認した。
「あ、避妊はしないからね。」
「ん?なぜだ。」
ルナと見つめあった。
「もっと兄弟が欲しいからさ。」
動揺しやがれ、っと思ったのに、社長もミユキちゃんも平気な顔をしている。
「いいわよ。中でバンバン出しちゃいなさい。でも。ねえ、あなた。」
「うん、そうだな。オマエたちには既に大勢の兄弟が居るけどな。」
「はあ?」