ケイ、シングルマザー-1
1.
股間の腫れぼったい異物感が暫く続いた。
ケイは愛するヤスオを受け入れたことを後悔していなかった。
ペチャパイで、発育不全気味の身体に全く自信がなかったので、ヤスオとの交わりではむしろそのことの方が気がかりだった。こんな貧弱な肉体で、ヤスオが満足するだろうか。若し、嫌われてしまったら・・。
一度は経験することだから、ヤスオに抱かれれば本望だと思っていた。
貫かれた瞬間の痛みは、思ったほどのことはなかった。
ヤスオに抱きしめられ、股間を押し割って侵入してくる力強いものを、頼もしくさえ感じた。
ヤスオの昂まる悦びと共に、挿入されたものが一段と大きく胎内に充満していく過程を、静かに受け止めた。挿入前の愛撫が、痛みの伴うこの過程をリラックスさせてくれたようだ。
ヤスオはケイの上で喘ぎ、腰を震わせて絶頂に達した。
「凄く好かったよ」
と言ったヤスオの言葉も、まんざらお世辞とも思えなかった。
「初めの内は痛いけど、そのうち段々好くなって来るからね」
ケイは、今のままでも十分幸せだと思った。
久しぶりに晴れたので洗濯をした。
ベッドに潜ると、脛に触れるシーツがさわさわと心地よい。
すっかり日が落ちて、窓の前の通りを過ぎていく自動車の排気音が、時折静寂を乱す。
下ろしたカーテンの隙間から、街頭の灯かりが僅かに漏れてくる。白い壁に反射をして、闇に慣れた目に、机の上の花瓶に挿した赤いバラが仄かに映る。ヤスオが贈ってくれた。
日が経つと共に異物感が薄れていくと、ヤスオの痕跡が失われていく様で寂しかった。
その反面、「そのうち段々よくなる」と言ったヤスオの言葉が現実のものとなって、今では三日会わないと、身体が疼いた。