狂愛者の最後-5
「よう、二人とも。」
「……佐伯君。」
顔は笑顔、でも何処か影があって凄く怖い。
そう感じる前から風馬君は私を護るように私の前に覆い隠す様に出て。
「何か用?」
キッと彼を睨み付ける。
「そう怖い顔すんなって、安心しろ彼女には一切手は出さないから。」
「………。」
そんな事言われても信用出来ないし、そうだとしても私の大切な彼を傷つける何てそんなの許さない。
「あの稲葉って人、捕まったみたいだな。」
「…何言ってんの?二人で共謀してたクセに。」
「そんなんじゃねーよ、まっ居場所を知らせてくれた時はありがたかったが。」
「君も他人事じゃないよ、あんまり彼女にしつこいと。」
「はっお前が言うか!このストーカー野郎!殺人犯、あーまだお前に刺された腹が痛むなぁー!」
「っ!」
悲しい、あまりにも悲しすぎる、嘗て親友として仲が良かったのに、時には私より彼を選んで嫉妬させるくらいだったのに…、今じゃこんな、こんな事言うだ何て…。
「やめろよ…。」
「あぁーん!?別に良いだろ。」
「彼女が傷つくだろ!」
「っ!?」
「…なぁーに言ってんの!俺はお前を罵ったんだぞ、別に彼女には。」
「だから傷ついたんだよ!僕だって彼女が悪く言われたら傷つく、だからこうして盾になるように彼女を護ってボロクソ言われている僕を見て彼女が何とも思わない訳がない。」
「風馬、君…。」
そこまで深く私の心情を察して行動に…。
「……ふっ、あっはははははははぁっ!!あははははははははぁ!」
そんな彼に苛立ったのか急に頭のネジが取れたように狂笑する。
「っ!」
「…いやぁー、眩しいねぇーカッコいい!理想の彼氏さまだぁー♪」
夜にも関わらず高々と大笑いし、口を大きく開け目を手のひらで覆い隠す。
「もう僕らから手を引け!そしたら警察には突き出さないでやる!」
「は?突き出す、一体何を?」
具体的な罪名は浮かび上がらないが、迷惑行為を受けている事に変わりない。
「…ざっけんな!俺は何もしてない、アイツ程酷い事はしてないだろ、店を荒らすってバカだろうが!」
「……確かに、彼女はやり過ぎた、そして君はそこまで行き過ぎてはいない。」
「だろう!だったら…。」
「でもっ!若葉ちゃんを傷つけ怖い思いをさせ不安な日々を送らせた!その事に関してはどちらも同じだ!」
「ふん!偉そうに!」
「無駄だよ、稲葉さんはもう捕まった、君が何をしようと…。」
「バカが、この俺が何のためにお前らを呼んだと思ってる?」
「え…?」
そういうと彼はポケットからある物を取り出した。
「っ!!」
それは私達が最も恐れ見たくない物だった。