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元人妻との恋
【フェチ/マニア 官能小説】

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温泉旅行-3

沼津駅で乗り換えた僕たちは、途中の伊東駅で下車して手を繋いで開放感を楽しむように歩き始めていた。

「素敵な街並みね」
「昭和ですね。いや大正かもしれない」
「好きよ、こういう街」

夏が終わりシャッター街の繁華街を歩きながら、美奈子は慈しむように目を細めていた。
美奈子の育ちは神奈川県の相模原だと聞いていた。

「相模原ってどんな街だったの?」
「田舎よ。相模原って言ったけど正確には津久井郡って田舎なの。そこの左官屋の娘が私よ」
「さかんやって何ですか?」
「やだ、知らないの!左官屋はね何年も掛けて技術を身に付けて国家試験をパスしなきゃならない日本の職人なのよ。田舎だけどね」

父親を尊敬していることが十分伝わる話し方だった。立派に育てられたことが手に取るように伝わっていた。

元旦那に仕込まれた夜の美奈子とのギャップが凄すぎて、つい、手を強く握ってしまっていた。

「やだ、何?痛いわよ」
「ごめん、一度津久井に行ってみたいよ」
「怖いわよ、うちのお父さん」
「だろうね」

笑いながら、ゆっくりと港を目指して散歩を続けていた。

漁港を眺められるカフェに入った僕は、珈琲とアイスラテを頼んで港を眺めていた。
麦わら帽子を取り外した美奈子は、化粧を気にするように手鏡を取り出して身だしなみを整え、長い髪を巻き上げて後ろで束ねるように留めて話を続けていた。

「彼女とはどんな所に遊びに行ってたの?」
「忘れました」
「ずるい。何か怪しいなぁ」
「普通ですよ。普通の所です」
「変なの。やだわ秘密を作る人」

頬を膨らませる良く見る表情で美奈子はふてくされていた。

本当は、下田や修善寺には何度か行ったことはあった。言ってしまっても良かったのだけど、僕の全てを知られるようで怖かったのが正直な気持ちだった。そんな我儘な僕を問い詰めない美奈子には、大人の余裕を感じさせてくれていた。

「美奈子さんは伊東には来たことがあるの?」
「勿論あるわ。これでも元人妻よ」
「伊東ってコマーシャルで良く見る伊東だよね」
「やだ、初めて来たの?」
「そうです。伊東に来るきっかけは無かったです」
「そんなものなのかしら。伊豆といえは伊東なのよ」
「そーなんですね。知らなかったです」
「やだわ、何か歳の差を感じちゃうわ」
「たった2歳ですけど」
「私にとって2歳は大きいのよ。いいわね男って」
「もうすぐ三十路になるとそう思うものなんですね」
「ちょっと!からかってるでしょ。やめてくれるかしら。へこむんですけど。」

素敵な笑顔で笑いかけてくれていた。目尻の皺が可愛らしくて見惚れてしまっていた。

「そうだ、花火買って旅館に行かない?」
「いいですねー。手持ち花火を和室の縁側に座りながらやりましょう」
「決まりね。浴衣着て花火するの凄い久しぶりだわ。すっごい楽しそー」

子供のようにはしゃぐ美奈子は満面の笑顔で僕を見つめて笑っていた。

「そろそろ行きましょうか。少し早くても旅館は入れてくれると思いますよ」
「うん。花火買って、お酒もたくさん買って、今日はとことん楽しんじゃうから。覚悟しておくのよ」

僕をからかうように素敵な笑顔で笑いかける美奈子はこれからの一泊を心から楽しみにしているようだった。僕は、そんな美奈子に見惚れながら和室で浴衣でみだれる美奈子を想像して、いつもの僕のエロい心に苦笑いすることしかできなかった。


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