淫ら華-2
メールを見ると、
「ごめんなさい、ご主人様。
三十分くらい遅れそうです。
一つ電車に乗り遅れちゃって、ごめんなさい。
必ず行きますから、待ってて下さい。」
(あらまっ、乗り遅れたんや。仕方ないな。どうしよ?喫茶店でも行くかな?)
「乗り遅れたんだ。
いいよ、待ってるからね。
気を付けておいで。」
ワタルのメールを電車内で受け取ったエリカは、
(あっ、待っててくれるんやわ。良かったぁ。遅れたおわびはどうしよう?ううん、考えんとこ。でも、あんた、奴隷の意味わかってるん?わかってるわ。自信はないけど、私の夢やったんよ。ほなけど、、いや、ご主人様に任せよ。)
エリカの中で、自身の夢の実現と未知への恐怖とが混じり合い、痺れたように身動きがとれなくなっていた。
「はい、ご主人様。
もう少し待ってて下さい。
高松で待ってて下さい。
必ず行きますから!」
近くの喫茶店でタバコを吸っていると、エリカのメールが届いた。
「待ってるよ、牝犬エリカ。」
思わず、言い過ぎたかと、つぶやいたがそのまま送信していた。
時計を見ると十時を少し回っていたので、支払いを済ませ、駅に歩いていった。
改札口の前で三十分以上待っていると、スラッと細身で黒のタンクトップに明るいグレイのタイトミニの美人が、ワタルに手を振り近づいてきた。
「あの、初めまして、ご主人様、エリカです。」
あとの言葉を次ぐ前に、エリカの唇が唇で塞がれた。
(うそ、なに、いきなりなん?けど、上手い、この人、、)
エリカの唇は開かれ、今日初めて会った男の舌を受け入れた。
舌と舌が触れ合った瞬間、エリカは駅の雑踏も、周囲の全てが消え、ただ夢中で男の舌を求めた。
「さあ、行こうか、エリカ?驚いたかい?」
何気ない風にワタルが聞いた。
動悸を沈めるように、エリカが胸に手をあて、
「はい、驚きたした。いきなりでしたから。でも、ご主人様のキスすてきでした。私、男性とキスするの初めてでしたから。」
唇が放れ、エリカの発した言葉がワタルに衝撃を与えた。
(初めてって、まさか?バージン?つまり、男性経験はゼロってことか?うそっ!)
ワタルはショックと同時に、肩にズシンと重荷を感じた。
「つまりセックスの経験がないって事かな?」