『茜色の空に』-4
すぐ離れたかと思うと、今度は深い口づけ。彼の舌が、私の唇を押し広げて侵入してくる。
そして、優しく、強く、私の舌に絡み付く。
「んっ・・。」
ああ。とろけそう。何でこんなにキス上手なの。
そんな事をぼーっと考えていると、唇が離れる。
「明香さん、可愛い。」
「・・・。しんちゃん、酔ってる・・?」
「かも。こんな恥ずかしい事、勢いじゃなきゃ出来ない。でも、好きなのは本当だよ。」
勢いあっても出来ないよっ。と、心の中で叫んでみる。私の方が2コも年上なのに、落ち着かなくって心臓がバクバクしてる。
「こっち、来て?」
ベッドの端の方に腰掛けていたしんちゃんは、体をベッドの中心の方へ動かし、ソファに座る私の手を引く。
抵抗出来ない私は、そのままベッドの上の、しんちゃんの前に座らされてしまう。
そして、もう一度唇が合う。舌と舌が絡み合うキス。しんちゃんは私の背中に腕を回し、ぎゅっと力を入れて抱き締める。
「ふ・・んん・・。」
長く、甘いキスに思わず声が出てしまう。
唇が離れ、そっと目を開けてしんちゃんを見つめると、
「・・駄目だ。ヤバい・・。」
ポツリとしんちゃんが呟く。
と同時に、私の体が押し倒される。
「・・っ。し、しんちゃんっ。」
思わず腕を伸ばしてしんちゃんの体を押す。
「・・・嫌?」
又あの揺らめく瞳で見つめられる。心臓のドキドキはますます激しくなる。
「い、嫌ってゆうか・・。シャ、シャワー借りてもいい?」
「う〜ん。いいよ。僕もじゃあ後で浴びるね。ごゆっくり。」
いつもの優しい微笑みで答えてくれる。
着替えとか無いよなー。などと、少し冷静になった頭で考えながらシャワーを浴びる。
・・てゆうか。しんちゃんと私が、そんな風になっちゃうの!?ええっっ。
どうしよう!?
今更ながら、恥ずかしさが込み上げて来る。
そうやって一人で百面相していると、バスルームの外から、
「明香さん、バスローブ、二つあったから、ここ置いとくね。」
と、しんちゃんが声を掛ける。
「あっ、有難うっ。」
自分でもどの位入っていたのか分からない程、やっぱり混乱したまま、バスルームを出て、洗面台に置いてあったバスローブを羽織る。
「・・。お先に・・。しんちゃんも、どうぞ?」
「うん。」
しんちゃんはソファに座って、残ったビールを飲んでいた様だ。私を見遣ると立ち上がり、ゆっくりと私に近づき、私の濡れた頭のてっぺんにに軽く唇を当て、
「明香さん・・。帰らないでね?」
と、不安そうに囁く。
「うん・・・。」
小さく返事をした私を軽く抱き締めて、しんちゃんはバスルームへ行った。
その間、私も落ち着かないので、一つしかないソファに座り、しんちゃんが飲みかけのビールを飲んでみる。もうすっかりぬるくなってしまっていたが、半分位残っていたそれを飲み干す。