前章(四)〜惜別T〜-32
「あ、貴方が望んだ体よ。何時もの様に、は、辱しめてご覧なさいな!」
未だ、成熟に至らぬ少女の一糸纏わぬ姿。程好い肉付きの女体が、含羞をも感じずに立っている。その姿は、実母や義母の熟れた女体のみ知る伝一郎からすれば、とても眩しく思えた。
「さあ!」
夕子は、再び想い人の胸に飛び込むと、両腕を首許に巻き付ける。少女特有の乳臭さに加えて汗の匂い、そして、発情した女が放つ甘い香りが渾然を成し、伝一郎の鼻腔から脳内に纏わり付く。夕子は強く身体を密着させ、自ら伝一郎の口唇を奪いに行った。
「ふっ……んっ、うんっ。」
それは、此れ迄に無い程、激しい接吻で有った。夕子は端(はな)から舌を突き出し絡めて来た。伝一郎は堪らず鼻で息を繰り返すが、その毎に、婬靡なる少女の臭いに由って理性は次第に痺れて行き、代わって情欲が頭を擡(もた)げて来た。
──だったら御望み通り、犯してやる!
伝一郎は、接吻を繰り返し乍ら巧みに服を脱ぎ捨て、
「きゃ!な、何を。」
夕子の裸体を両腕で掬い上げると、元来た部屋へと後返る。
「御前の望み通り……。こ、此処で女にしてやる。後で、泣き事を云っても止めないからな!」
そう云うや否や、夕子を布団の上へと乱暴に落とすと有無を云わさず覆い被さり、激しく口唇を重ねた。
夕子の顔が、悩まし気に歪んで行く。伝一郎の背中に腕を回し、後頭部を激しく撫で上げる。
「ああ……好き……大好き。」
心の底に止めていた言葉が、不覚にも漏れた。伝一郎の舌は本能のまゝに、口唇を離れて汗ばんだ首筋へと這(ほ)うて行く。
「はぁ……夕子よ。男は昂ると女の全身を……欲する様に為る。口唇から首筋、乳房や腋、背中……そして、女陰や尻穴さえも舐り尽くしたいと思う。」
荒い息で、耳許に語り掛ける伝一郎の舌が、うなじから鎖骨、そして、僅かに毛が生える腋へと下りて行く。想い人に自分の臭いを嗅がれる事への含羞を感じ乍らも、その実、夕子の身体は熱り、鋭敏さを増して行く。既に、女陰は蜜に由って、しとどに濡れていた。
「──その最中……男は五感を研ぎ澄まし、自らの興奮をも高め様とする……。女の肌の温もりや湿り具合、舐めた時の感触と味わい……女の身体が放つ臭い、そして吐息に艶声と……女の反応を逐一確める事で……自らも昂らせるんだ。」
その舌が、未だ恥毛の薄い、濡れた女陰を広げて舐め上げた。その刹那、少女は悲鳴にも似た嬉声を短く発し、身を捩らせる。
少女特有の酸味のきつい蜜が、伝一郎の舌を刺激する。女の悦ぶ勘所を識り尽くした男の指は女陰を開き、蜜壷の奥、窪地の肉襞(ひだ)を探し出すと、易しくなぞり上げた。
すると、捥(も)ぎ立ての茱萸(ぐみ)に似た赤色鮮やかな※17吉門が、蜜を滴らせて姿を顕にした。
伝一郎は迷わず吉門を舐ぶり、そしてきつく吸い付いた。
「あっ!……んっ、いや!ああっ。」
拙い手慰みとは比べる迄も無い程の快感が、下腹部で爆(は)ぜて全身へと駆け廻る。少女は唯々、忘我の境地で身を強張らせ、喜悦の声を囀(さえ)ずらせた。
「良いよ、夕子。打てば響く様な甘い艶声は……男を昂らせるんだ。」
「いや!辞めっ。」
舌に代わって伝一郎の指が、毒々しい色合いの吉門を緩々と撫で上げ、一方の手は尻肉を掻き分けると、菊門を丹念な舌使いで、皺の一つ々まで舐(ねぶ)り付けて行く。
犬の様に、尻穴を間近で覗かれるばかりか舐められ続ける。夕子は強く撥(は)ね退けたい衝動に駆られたが、此れ迄、識(し)り得なかった快感に全身は粟立ち、身体は逆に「もっと!」と、せがんでいた。