出会ってしまった-4
少し混乱しながら、エリカの指先が携帯の上を走った。
「なにがあったのか、しりませんが?
だめですよ、死ぬなんて!
あなたの小説を楽しみにしてる人もいんですから!」
(なんか、おかしいかな?ひょっとして本気で心配してる?なんで?なんで、心配!うそでしょ!)
エリカは自分の中の微妙な変化と言えない変化に戸惑い、うろたえている自分に驚き、拒絶しようとしようとしていた。
しかし、エリカの指先はそのまま送信することを選んだ。
(ん?なんか、来てるな。どうする。いや、今はいい、、。)
ワタルは携帯の受信ランプの点滅を、無視して天井をボンヤリと眺めていた。
ここ、一週間ほどの出来事を思い出しながら、眠りの精に包まれ、心地よい夢の中に落ちていた。
エリカは返信のないこと少しヤキモキしながら、
(どしたんかな?まさか、わたし、心配してる?なんで?アホ違う!)
ガンガンの事が気になりはじめている自分に、驚きと納得とがないまぜになりエリカは、混乱していたが、
「バカみたい、気にしない、気にしない、なんにもなかったんやから。」
思わず口に出し、小説のこともガンガンという作者のことも忘れたことにして、ベッドに潜り込んだ。
翌日、朝食を済ませ出掛けに母親から、
「エリカ、悪いけんど今晩、お父さんと出かけるけん。二日ほどええかな?」
いつものことながら、突然の両親二人の旅行宣言がエリカに告げられた。
「えっ、二日なん?了解。気をつけてね、お土産期待してるわ。」
毎度のことながらエリカは、
(もう、もっと早めに言うて欲しいなぁ。仕方ないけど、、。)
辟易しながらも、エリカは引き受けていた。
出勤してロッカーでユニフォームに着替えていると、バッグから携帯が床に滑り落ちた。
拾いあげ、何気なく受信ランプの点滅をチェックしていた。
(まさか、ないわよ。それに、ニュースにもなってないし。)
思わずクスッと笑ってしまっていた。
午前中は客足が途絶えることなく、仕事に追われていた。
少し落ち着いたのは、一時を少し回ったころだった。
「中本さん、お昼に行ってください。代わりますから。」
先にお昼休みを取っていた先輩の女性店員が戻り、エリカは昼食に休憩室に上がった。