出会ってしまった-20
まさかと叫びそうになるのをワタルは、辛うじてこらえながら喜びが込み上げて来るのを感じていた。
「エリカ、奴隷が夢って?つまり、一生奴隷でいたいってことかな?」
(まさか、いまだけやわな。)
ワタルのサドが、面白そうに笑っているのを感じながら、エリカに聞いていた。
「はい、そういうことを知ってから、小学生くらいからずっと、憧れてました。人に話すと変態あつかいされるんで、誰にも言ってないですが、ご主人様ならわかって下さると思って。」
「小学生からって、重症やな。つまり、それなら、イロイロ調べたりしたのかな?」
驚きと同時に、新たな喜びがワタルをみたした。
「はい、あの、江戸時代の拷問史とか、私、おかしいのかなって、でも、ご主人様や他の小説を見て、こんな世界があるんだってわかって、私、変でしょうか?」
「いや、変じゃないよ、エリカ。普通だよ。みんな、自分を認められずに苦労してるんだよ。じゃあ、明日を楽しみにしてるよ、エリカ。そろそろ、おやすみ。」
「はい、ご主人様。普通なんですか?でも、明日楽しみにしています。おやすみなさい、ご主人様。愛してます。」
携帯が切れ、
(えっ、愛してますって!本気やろか?いや、本気やろ!応えてやらなあかんやろな。)
ワタルは道具のチェックをしなおし始めた。
(ばかっ、愛してますって、なに言うてんの!アホッ!けど、ホンマの気持ちやし、こんなん初めてやし、受け止めてくれた人もご主人様だけやし。)
エリカの中に、明日への期待と不安と、そして隠してきた自分を解放する快感の予感に、なかなか眠れなかった。
エリカが朝の光りに起こされたのは七時を少しまわっていた。
(なにを着て行こう?初めてのデートだし、どうしよう?聞いて見ようかな?)
軽く下着だけを身につけ、朝食の準備を始めた。
軽い朝食のパンを焼きながら、ワタルにメールを送っていた。
シャワーを浴び、スッキリした頭で朝食のテーブルについたとたん、ワタルの携帯がメールの受信を知らせた。
「おはようございます、ご主人様。
あの、今日なにを着て行けばいいか、ご主人様のお好みがあれば、教えて下さい。
私、ご主人様の色に染まりたいんです。」
(あれま、ここまで徹底してるんや。どうしょ?)