出会ってしまった-2
「読者の皆様へ
誠に勝手ながら、小説をやめることを決心し、このサイトでの連載も一週間したら脱会しますので、消されますので、あしからず。
ご愛読ありがとう、ございました。」
とだけ書かれていた。
エリカの中に、言い様のない不安と少しの胸騒ぎがザワザワと巻き起こった。
(どうしよう?でも、いえ、そうね、確かめてみなきゃ!でも、、)
エリカの指先がユックリと確かめるように、携帯の上を滑った。
「ガンガンさん、お久しぶりです。
あの、やめられるのは本当ですか?
突然でビックリしています。」
(いいわよね?このままで、、でも、変に思われないかな?大丈夫よ、あれから連絡してないんだから。)
エリカはホンの一週間前のガンガンというペンネームの男との、やりとりを思い出し身体が熱くなっているのを感じていた。
「YAYAさん久しぶりです。
やめるのは、本当です。
楽しみにしている読者には、悪いですが、疲れました。
ごめんなさいね。」
ただ、そう書かれていただけだった。
エリカの不安が一層大きくなった。
「なにか、あったのでしょうか?
普通じゃない感じがするんですけど?
大丈夫ですか?」
そっけないような文章から、なぜか放って置いてはいけないという、訳のわからない不安がエリカを突き動かしていた。
それを裏付けるように、
「YAYAさん、ありがとう。
普通じゃないかも、知れない。
チョイ辛いことがあってね、なにもやる気がしない。
ただ、冷たいナイフが気持ちよさそうに見えてね。
ごめんなさいね、YAYAさんには関係ないよね。」
(えっ、ナイフ!死ぬの?だめっ、止めなきゃ!)
エリカの不安が的中していた。
(冗談よね。自殺?でも、あたしに、関係ないし、でも、、)
無視しようか迷っていたが、エリカの指先は携帯の送信をタップしていた。
「まさか、死ぬなんてだめですよ。
ナイフなんて、冗談でもやめて下さい。」
(えっ?俺のことを心配してくれてんのか?まさかな?ないやろ!)
ガンガンこと岩佐ワタルは、サイト内のミニメールを送ってきたYAYAという読者のことが、気にかかりはじめていた。
「死、ですか?いま一番身近に感じます。
気にしないで下さい。」