出会ってしまった-19
少し照れたような口調でワタルが聞くと、
「はい、エリカで、いいです、ご主人様。」
「エリカ、ありがとう。でも、まだ、歯ブラシ動いてるね、エリカ?」
「えっ、どうして、、。はい、まだ、動いてます。」
(どうして、わかったの?音が聞こえてる?でも、、聞かれたい。)
電動歯ブラシをエリカは、まだ動かし快感を味わい、さっきまでの恥態を思い出していた。
ワタルにそれを知られたことが、エリカは不思議で、同時に羞恥が彼女を捕らえた。
「うん、正直でいいな、エリカ。明日は十時で大丈夫かい?それと、泊まりは出来るんだね。」
「あっ、はい、ご主人様。明日は確実です。それと、あの、ご主人様の夢はなんですか?」
(ばか、なに聞いてるん?それに、会ったこともない男に、ご主人様ってなんなん!あんた、アホ!けど、この人のモノになりたい、、好きんなりかけてる、、アホッ!)
エリカの中で普段のSキャラが戻り、目覚めたばかりの別のエリカと主導権を争い始めた。
「えっ、俺の夢?うーん、あんまり考えてないなあ。けど、ずうっと持ってるのは一つあるなぁ。」
(なんやろ、突然。けど、この娘なら言うてもええ気がする。)
「あの、その夢ってなんですか?教えて下さい。」
(ばかっ、なに聞いてんの、聞いてどうすんのん?)
なぜ、そんなことを聞いたのかエリカにもわからなかった。
「うん、こんなん言うてもエエかわからんけど、奴隷妻と一緒に暮らすことかな?奴隷を妻にするってことな。」
(奴隷妻、なにそれ、けど、、なんなん、ドキドキしてる。まさか?あかんわよ、、でも、惹かれてる、、奴隷で妻、、私、おかしい、、)
「あの、ご主人様、私を奴隷妻にして下さい!お願いします。」
思わず叫ぶように言いながら、エリカの中で分厚いSの仮面に小さなヒビが入った。
「えぇ、かまわないのかい?五十越したオッチャンやで、それでもよかったら、かんまんよ。けど、明日あってからやね。」
(うそやろ!けど、この娘、本気やわ!応えてやらんと。でも、厳しいぞう!ユックリヤ!)
「えっ、嬉しい!本当ですか、私、奴隷になるのが夢だったんです。奴隷で妻、私の理想です。」
(ばか、だめよ。でも、奴隷は私の夢。だから、叶うなら、、)
隠された夢が彼女を動かした。