出会ってしまった-10
ワタルは考えるようにユックリと返事を打ち始めた。
「本当に構わないんですね、YAYAさん?
奴隷ですよ。
構わないなら、
*******@*****.ne.jp
アドレスへメールくれますか?」
よしっ、と気合いを入れるように言うと夕食を片付けた。
ロッカーで帰り支度をしていたエリカの携帯の受信ランプが、点滅を始めた。
(えっ、アドレス?そうね、奴隷を望むんなら、そうよね。)
メールを見た瞬間、エリカの中の別の何かが顔を見せた。
エリカの指先が携帯の上を撫でた。
「ありがとうございます。
YAYAです。
届いたでしょうか?
それから、名前は中本エリカです。
本当に私でかまわないのですか?」
画面をチェックしながら、
(なんか変よね。けどいいかな?でも、知りたい、、)
エリカはガンガンに名前をあかし、自分の本気さをアピールし、相手の本気度を引き出すつもりだった。
(えっ、エリカ!本名かな?いやたぶん、本名やろ。本気やな。わからんか、ほんなら試して見るか?)
ワタルはYAYA、いやエリカの本気を驚きの気持ちで受け止めながら、新たな力が湧いて来るのを感じていた。
「YAYAさん、あっ、いや、エリカさんですね。
私は、岩佐ワタルといいます。
写メ、好みじゃなかったら言ってくださいね。
ただのオッチャンだからね。」
ワタルの返信を見ながら、エリカは思わず微笑んでいた。
しかし、ロッカーでニヤニヤしてるところを人に見られたくないので、早々に帰り支度を済ませ、バスに飛び乗った。
写メを見ながら、
(ホントオジサンやわ。けど、優しそう。うーん、好みかな?)
思わず顔がほころんでいるのを、エリカは可笑しく感じていた。
バスを降り、自宅まで小走りで帰った。
玄関を入ると、待ちかねたように携帯を取り出し、
「素敵です。
どちらかというと、好みです。
私のも見て下さい。
あなたのお気に召すか、どうか、恥ずかしいですけど。」
メールをチェックしながら、エリカは気分がウキウキしているのを不思議に感じていた。
(変ね、知らないオジサンにワクワクしてるなんて?でも、初めてだもんね。男の人にこんなことしてるの。)
エリカは、ドキドキしながら送信していた。