悪夢のエスカレート-4
それからも彼の陰湿なストーカーは日に日にエスカレートしていき、ついには…。
「助けてくれぇ!親父が…親父が事故に遭って、俺、俺…もうどうしたら良いのか分かんなくなっちゃって、だから頼む!」
同情を誘ってまで私に振り向かせようとしてきて。後で巴ちゃんが彼の家に電話したら普通に家で奥さんと寛いでいたとか。
ここまでする、いや落ちぶれて本当に残念でならない。
「全く、本当にどうしちまったんだが。」
「あたる…。」
作戦会議…とまで行かないけど、いつものラーメン店で私と巴ちゃん一条君とで悩んでいた。
「こんな事なら青森に戻って欲しい、彼の兄夫婦に当たってみようかな。」
でも、世の中そんな簡単に行く訳でもなく。
「もう殺っちゃおうかなー。」
またすぐそういう事言う。
「こーなりゃ若葉、我慢合戦じゃない。」
「そうそう、頑なに否定していればアイツだって諦める筈だろうさ。」
「でも…。」
筋は通ってるのかもしれない、けど。
すると向こうからドアを開ける音が。何気に振り向くと。
「っ!!」
………もう、いい加減にして欲しい。
「あたる!」
「やっぱここにいた。」
「何しにきたのよ!」
「何ってひでぇな、馴染みの店にラーメンを食いに来て何が悪い?」
「ウソつけ!まーた若葉の後を追って来たんでしょ!」
「あたる…、本当にどうしたんだよ。」
二人もとても困惑している。
「私、こんな事になって凄く悲しいわ、折角離れた友人とまた再会出来たってのに、こんな若葉を傷つけるような事ばっかして!」
「勝手な事して、苦しめているのは分かって。」
「ならやめなさいよっ!何仕方のないようにぬかして。」
「柊さん、隣の席、がはっ!」
彼が許可なく私の隣の席に腰掛けようとしたのですかさず一条君がそんな彼を人蹴りして
「何すんだっ!」
「僕、厭わないから…。」
「は?」
「もしあたるがいつまで経ってもそうやって彼女の後を追い回すならこっちだって出る所出るよ?」
「ほぅーー?俺を警察にでも突き出すか?無駄だね、友達同士のいざこざ何ていちいち相手にしないだろうよ。」
「私達、本気だよ?あまりに若葉を泣かせるなら。」
「俺を殺すってか!おー怖ぇーなお前は、んな事したら。」
「いちいちそうやって無駄な屁理屈こねるとは…。」
「おい、食べ終わったらちょっと表出ろ。」
え、何?
何処か意を決した彼。