悪夢のエスカレート-2
「……佐伯、君。」
「よっ!やっぱりここか。」
どうして?
周囲からはごく普通に待ち合わせしたカップルのようにしか見えないくらい自然に嫌がらる姿勢を取る私にお構いなくヒョイとやって来て。
「お前らの話を聞いたらここに居るって。」
私と風馬君のデートの約束をこっそりと盗み聞ぎした訳ね。
「じゃ、行こっか。」
「やめてっ!」
さも当然に私の手を引こうとする彼の手を振り払う。
「別に私、貴方とデートしたくて待っている訳じゃないんだけど!」
「またまたぁー、俺たち恋人同士だろ♪」
「えぇ!元…ね。」
折角、折角気分を晴らそうと思ったのに、こんな事って。
「随分と落ちこぼれたものね、嫌だって言ってる人を何度も何度もしつこく付け回して挙句彼と私のデートの約束話を盗み聞きする何て、……どんだけ悪運強いの。」
「別に盗み聞ぎ何てしてねーし。」
「嘘っ!」
「ウソじゃねーよ、あの時俺は友達と体育館でバスケしてた、本当だぜ。」
「……。」
確かに、嘘をつく理由も。というか何でこんなに疑わなきゃいけないの、仮にも私の元彼だった人に。
「兎に角行こうぜ!」
「嫌、やめて!放して!」
「あいつは来ねーってだから…なっ?」
嫌がる私を無理やり連れ出そうと腕を引っ張りそれに必死に抵抗する私。
こんなの、嫌…。
「その手を放せっ!!」
「っ!」
そこに純粋で真っすぐな心の持ち主の叫び声を耳にし。