光の風 〈聖地篇・序章〉-14
「私の名は沙更陣(さざらじん)王の側近を務めています。」
丁寧なお辞儀に、リュナは反射的に頭を下げた。カルサは沙更陣と名乗る男を見たまま、行く末を見守る。
「奥で王がお待ちです。案内しますので、どうぞこちらに。」
沙更陣は背中をむけ奥に向かって歩きだした。噴水が遊ぶ道を進んでいく。
「王って、御剣を束ねる守麗王(しゅれいおう)の事?」
リュナの問いかけにカルサは予想外で固まった。リュナは不思議そうにカルサを見る。
「驚いた。守麗王の事を知ってるのか。そうだ、今からオレたちの頭に会いに行く。」
そう言ってカルサは歩きだした。リュナもすぐに続く。
御剣の総本山。二人の足は彼らの王のもとへ向かっていた。