The job of a poor boy is fantastic-2
夜中の2時、翠は「インターネット・カフェ」の会計を済ます。
今日は差し引き8000円弱の稼ぎ。まあまあって所。飛び散った精液を「インターネット・カフェ」備え付けのシャワーで洗い流した翠は店の外に出る。
翠は禁断の「幼児性交」営業の第二部を始める。
「インターネット・カフェ」に備え付けられたPCは翠のような子供にも簡単に操作出来た。
だから、翠をより求める「顧客」を見つけ出すのに苦労はいらない。
翠のような「ショタ」の最大の需要は「小児科」と呼ばれる人々。そんな「顧客」がこの時間集まってくるのは「神楽坂公園」というゲイの出逢いのスポットだった。
「神楽坂公園」は都心にしては珍しいくらい緑が多い。
もっとも翠は夜にしか来たことがないのではっきりしないが、罪深い恋人たちが好んで潜みそうな繁みは随所にある。
まるで用意されたかのように人目に付かない所にベンチが配置され、そこは飢えた男色家の「狩り場」として知られていた。
しかし、翠はその風体からして「上客」は選べない。収入のおかげで洗濯は済ませたが(着替えがないのでコインランドリーでは全裸だった)、だぶだぶのTシャツとくたびれたデニムのパンツでは「売り物」としては最底辺のランク。だから翠はそういった層を狙った。
「まるでトイレで用を足す」。そんな感覚の肉便所。
だから翠は文字通り神楽坂公園の公衆便所に潜む。
掃除用具置き場のドアの影に隠れた翠は、気長に「客」を待った。
何人かはただの酔客。一組のゲイのカップルはほとんど「本番」近くをこんな場所でしていった。
その手練手管も翠にとっては貴重な情報だ。
その「客」はひとめでそれと判った。脂ぎっていてずんぐりとして、精力を持てあまし、欲望に眼をギラギラさせ、視線が泳いでいる。「商品」を探す態度としてはスタンダード。風貌はありがちなオタク系。どうしてこの手の人たちが多いのかなあ。
男がトイレを覗いた時を狙って翠は意味深に姿を見せる。男と視線を絡ませると、「インターネット・カフェ」のビデオで見た淫乱AV女優の真似をして唇を開き、淫らな舌使いをしてみる。
フェラチオを楽しむ淫乱女みたいな仕草に、脂ぎった男はすぐに反応した。
「ほええええっ、か、可愛い子ちゃん、だねっ」
「…………(うふっ)」
「坊や、ひょっとして小学生じゃない?………いやー、これ、ラッキー」
「………ショーシンショーメーの、小学生男児ですっ」
「ちょっとお。に、匂い嗅がせてっ」
男は翠の肩がはみ出しているTシャツの首元に鼻を寄せる。
「インターネット・カフェ」のシャワーを浴びたから、匂うのは石鹸、だと思う。
だけど男はそれとは違う香りを翠の躯から嗅ぎ取ったらしい。
「ん─────ッ。この、何ともいえないミルクの匂いっ。初々しいっ」
「そ、そ、そんな匂いするかなっ、ボク」
「うんうん。僕ぐらいの「ショタコン」だとね、匂いからなんでも判っちゃうの」
「………じゃ、ボクの匂いはどんな味でしたかっ」
「ふむんんんっ!キョーレツな淫乱の匂いっ!凄っげえレア。今夜は最高だああっ」
「……勝手に盛り上がらないでください」
「んと、障害者用空いてるな。こ、こここっちにっ」
「……えっと、そこ、ボクにはまだ敷居が高いんで。こっちでいいです」
「なんでえ?なんでなんでなんで?」
翠は艶然と笑った。その鳶色の肌と三白眼が蛍光灯に照らされる。
「ボク、「精液便所」ですから。そんな高級な所はまだ無理なんです」
つまらない儀式なし。余計なリーベは不要。物理的とも言えるぐらいの直情。
強烈な「欲情」の解放。それが「肉便所」の使命。
狭い洋式のトイレで見た男のペニスは翠が予想していたのよりもはるかに大きかった。