エドガルドの欲しいもの-6
「あっ……。やっ……! なにか…… あぁっ……!!」
瞼の裏がチカチカと光り、何も考えられなくなる。
はじめての絶頂の余韻に身を震わせさせていると、エドガルドが満足そうな顔で頬に零れた涙を舐めとった。
リュネットは呆然としたまま、荒い呼吸を繰り返す。
ぼぅっと天井を眺めていると、達したばかりの秘所にまた指を埋め込まれた。
「あっ! やぁ、あ、ああっ!!」
今度は二本に増やされた指に、蕩けた蜜襞が絡みつく。
「しっかり慣らさないと、リュネットが後で辛いからな」
「え……辛……? あ、あ……」
訪ねようとしても、舌が上手く動かず喘ぎ声になってしまう。
甘やかな責め苦は長く続いた。
エドガルドは、自分は衣服も乱さぬままリュネットへ執拗に愛撫を続け、幾度も絶頂に追い詰める。体内の指を動かし、感じる場所を探り当てて責め続けた。
「リュネットは可愛すぎて、どれだけ見ても飽きないな」
「あっ……ぁ……っ! そんなに……も、いやぁ……っ!」
イかされ過ぎてもう苦しいほどなのに、気持ち良い所を刺激され、敏感な粒も擦られると、どうしようもなく感じて腰がゆらぐ。
ビクビクと身体を痙攣させ、涙と唾液に濡れた頬を敷布に押し付けた。
頭の中に霞がかかっているように、意識が朦朧とする。
エドガルドが手早く衣服を脱ぎ、膝裏に手をかけて大きく脚を開かされても、身体に力が入らなかった。
秘所に熱い昂ぶりが押し当てられ、エドガルドに抱きしめられた。
「リュネット……全部、俺のものだ。愛している」
熱に浮かされたように呟いた彼が、唇を寄せる。ぼんやりしたままリュネットは唇を開いて口づけを受け入れた。気持ち良いとだけ感じながら、猫がミルクを飲むみたいに水音をたて、舌を絡ませる。
エドガルドが腰を動かし、切っ先が潤んだ花弁を割り開いて押し込まれる。
「あ……く、う!」
圧迫感と痛みに、リュネットの意識が引き戻された。
指でさんざんかき回され、蕩け切って疼く隘路に、じりじりと熱い楔が埋め込まれていく。
「痛……ぁっ!」
体内を引き裂く痛みに悲鳴をあげ、エドガルドの背に夢中ですがりついた。 折り曲げられた脚がブルブルと震え、爪が彼の背に食い込む。
太く堅い雄が奥まで擦りあげ、全て埋め込まれると、エドガルドが詰めていた息を吐いた。
白く血の気の引いたリュネットの額にかかる髪をそっとかきあげ、頬や額に宥めるような口づけを落とす。
「リュネット、大丈夫か?」
心配そうに尋ねられ、リュネットは頷く。
「う、うん……少し、痛いけど……」
本当は少しどころか大変痛いが、舌を絡めてキスをされ、胸や腰のくびれを愛撫されるうちに、痛みに甘い痺れが混ざってくる。
蜜襞が疼いて雄を締め付け、エドガルドがゆっくりと腰を動かし始めた。
先ほど指で探り当てた良い場所を、ゴリゴリと先端で擦りあげられ、痛いのに気持ち良くてたまらない。彼が結合部に手を差し込み、真っ赤に充血した花芽もつまむ。
「ひぁっ! あ……だ、だめっ! おかしくなっちゃ……っ……あぁっ……あっ!」
怖いほどの快楽に肌が粟立ち、リュネットはまた絶頂に放り込まれる。
ひくついた内部が雄を絞り上げ、エドガルドが歯を食いしばって呻いた。リュネットの頬に手を添え、間近に顔を寄せる。
「っ、は……リュネット。この先、俺以外の男には軽々しく好きだとか言うな」
「んっ……え……? う、ん……言わな……い……」
真剣な眼差しで言われ、リュネットは頷く。快楽に痺れる手をなんとか動かし、毛並みと同じ艶やかなエドガルドの黒髪に差し入れた。
先ほど、変えなくて良いとちょっと曖昧に言われていたのを思いだす。
「エドにだけ……エドには、たくさん言っても良いの……?」
尋ねると、エドガルドが嬉しそうに目を細めた。
「ああ。毎日でも言ってくれ」
リュネットの喉に甘く噛みつき、喉を鳴らして上機嫌で笑う。
そしてリュネットの腰を掴み、激しく動きだした。大きく腰を打ち付け、性急な抽挿を繰り返す。
「あっ、あ、エド……好き……大好き……っ!」
密着した身体の間で花芽が刺激され、短い間に教え込まれた快楽を、身体が貪欲に拾い始める。ゾクゾクと背骨を駆ける愉悦に逆らわず、リュネットはまた達した。
喘ぎながら、身体の奥の雄を締め付ける。
「っ!」
ほぼ同時にエドガルドが短く息を呑み、快楽に震える胎内に熱い飛沫が放たれる。
断続的に吐き出される熱に身悶えるリュネットを、エドガルドがしっかりと抱きしめた。
欲望を吐き出し終えた雄がズルリと抜かれ、膣口から溢れ出る精の感触に身震いする。
もうクタクタで、指一本も動かしたくない。
エドガルドが濡れたタオルで身体を拭ってくれ、体液で酷い有様になっていた敷布も取り換えてくれる。
そして彼は半獣の姿になると、リュネットの隣に横たわって抱きしめた。
「少し狭いが我慢しろ」
「……大丈夫」
温かな漆黒の毛並みにうっとりと顔を埋め、リュネットは夢心地で答える。グルグルと鳴るエドガルドの喉の音が心地よい。
幸せな気分で、リュネットは眠りに落ちて行った。