エドガルドの欲しいもの-5
「んっ……ん……」
リュネットは小さく喉を鳴らし、溢れる唾液を懸命に飲み下そうとしたが、口の中を弄られながらではうまく出来ない。透明な液が口端から零れ、顎を伝い落ちる。
深い口づけをしながら、エドガルドの手がゆっくりとリュネットの身体を撫でた。豹の尾がワンピースの裾から入り込み、滑らかな毛並みに太ももをくすぐられてゾクリと肌が粟立つ。
「っは……」
身体を走り抜けた奇妙な感覚に思わず背をのけ反らせると、ようやく唇が外れた。
「気持ちよくしてやるから、力を抜いて楽にしていろ」
喉を鳴らして笑ったエドガルドを、酸欠でぼぅっとしたままリュネットは見上げた。
彼の両目は、豹人が興奮している証に金色を帯び、いっそう欲情の色を濃くしている。口元には嗜虐的な笑みが浮かび、今からリュネットを食い荒らそうとする獰猛な肉食獣のような気配がある。
「エ、エド……待っ……」
エドガルドが、こんな表情をするなんて想像した事もなかった。
思わず敷布を背で擦りながら距離をとろうとしたが、素早く腰を掴んで引き戻される。
「抱けと言ったのはお前だ。今さら逃がす気はない」
熱の篭る声で囁かれ、また背筋が甘く震えた。
片手で押さえられたまま、もう片手だけで器用にボタンが外されていく。簡素なワンピースはあっという間にはぎとられ、下腹部を覆う薄い下履きだけにされてしまった。
零れ出た真っ白な乳房を掴まれ、リュネットは息を呑む。
パン生地でも捏ねるように揉まれると、胸の先端がチリチリと疼き、身体が熱くなってくる。
「あっ」
尖った胸の先を指で弾かれた瞬間、鋭い刺激にリュネットは高い声をあげた。
「感じやすくて可愛いな」
エドガルドが楽しそうに言い、もう片方の胸に顔を寄せる。熱い舌が頂を舐め、口に含んで吸われた。
「っ、ぅっ!」
自分のものでないような、甘ったるい声が恥ずかしくて、リュネットは慌てて口元を手で覆った。
両方の胸への愛撫に呼応して、下腹部にもやもやと熱が溜まり始める。
「リュネット、好きだ。もっと感じて、可愛い声を聴かせてくれ」
胸から顔を離したエドガルドが、リュネットの口から手を引きはがし、唇の合間に自分の指を二本突き入れる。
そうして口を閉じられないようにして、もう片手で胸の先端をきゅっと摘まんだ。心臓まで鋭い快楽が突き抜け、リュネットは甲高い嬌声を放つ。
「ああっ」
喘いだ拍子にエドガルドの指へ歯が当たるが、彼は気にするでもない。柔らかな口腔粘膜を指で弄り、赤く膨らんだ胸の先を擦っては、リュネットに愉悦の声をあげさせる。
「んっ……はぁ、ぁ……」
荒い呼吸を繰り返すリュネットの口から、エドガルドが指を引き抜き、唾液に濡れたそれを見せつけるように舐める。それが妙に煽情的に見えて、頬が更に赤くなった。
そのまま彼はリュネットの首筋に舌を這わせはじめた。薄い皮膚を舐め、時おり吸い上げては、甘く噛みつく。
そのたびに、下腹部に溜まる熱が増していき、リュネットは短く喘いで身をくねらせた。
脚の付け根の奥が、ジンジンする。高まり続ける熱を持て余して腿をこすり合わせると、濡れた感触と共にクチュリと微かな水音がたった。
「え……や……なに、これ……」
粗相をしてしまったのかと青褪めると、閉じた太ももの付け根を黒い豹の尾にしゅるりと撫でられた。
「ひぁっ」
下履きの上から軽く触れられただけなのに、鮮烈な快楽が身体を走り抜けた。淫靡な熱がいっそう湧き上がり、瞳が潤んでいく。
「リュネットが気持ち良くなっている、自然な反応だ」
エドガルドが口元を緩めて言い、素早く下履きもはぎとられてしまう。全裸にされた緊張と衝撃に、リュネットは敷布を握りしめて硬直した。
一方でエドガルドは動きを止めず、蜜の滲みだす秘所へ指を這わせる。緩く円を描いて弄られ、くちゅくちゅと隠微な濡れ音がたつ。
「ん、ん……はっ、はぁ……っ……」
指を大きく滑らされるたびに、行き場のない熱が下腹部に膨らんでいく。上気した肌がしっとりと汗ばみ、敷布を爪先でかき混ぜて悶えた。
恥ずかしいのに、エドガルドが脚の間に身体を割りこませているので、思うように閉じることができない。
未通の場所に、指を一本差し込まれる。
最初は違和感があったが、ゆっくりと抜き差しされるうちに蜜がどんどん溢れ、違和感よりも快楽が強くなってくる。
蜜道をほぐしながら、他の指がそこより少し上にある突起をかすめ、びくんと身体が痙攣した。
「んっ……。あっ! だめっ」
強い刺激に驚いて訴えたが、彼の指は止まらなかった。
「こんなに素直に感じているのに、なぜ駄目なんだ?」
エドガルドは薄く微笑むと、その場所への愛撫を続ける。
「あっ、あ、あ……」
敏感な花芽を指先で柔らかく刺激され続け、たまらずにリュネットは涙目になる。
グチュグチュと体内をかき回す淫らな音が部屋に響き、リュネットの呼吸が浅く早くなっていく。
「我慢しなくていい。イけ」
しまいに、身の内の熱が限界まで膨らみ、頭の中が真っ白になった。