燃えたぎる愛欲-4
4.
ワイキキ・ビーチに面したシェラトン・ホテルのスイート・ルームに、貞夫とエリは手をつないで、バゲージを引いたボーイの後について入った。
型どおりの設備の説明をするボーイにエリがチップを渡すと、サンキューの声を残して立ち去った。
添乗員をしていたエリには、なんと言うことはない旅慣れた手続きだ。
さあ、いよいよ始まる・・・エリの胸は期待に震えた。
父親同士が親友で、見合いまでも無く、何度か出会いはあった。
エリート・サラリーマンで、学歴、仕事、容姿、どれをとっても、友達に引けを取ることは無い。天にも昇る思いで申し込みを受けた。
結婚までの付き合い時間は短かったが、婚前交渉どころかキスさえもしなかった。
真面目な人だから・・・女ずれしてないのは、悪いことじゃない。
「あの〜、シャワー浴びますか?」
「うん、そうしよう」
エリがバスローブを手渡すと、貞夫はバスルームに入っていった。
すでに日の落ちた窓の外は、天空一面の銀世界。これが東京のそれと同じ空かと疑われるほど、星粒がぎっしりと詰まっている。
目を落とすと、世界に名だたるワイキキ・ビーチは真っ黒で、何も見えない。ビーチ沿いのホテルの窓が、何れも満室なのか煌々と明かりに包まれている。
「ふふふっ」
(この窓の向こうで、私たちと同じ様な二人連れが、これからベッドで抱き合うのね)
(今晩一晩で、何人の子供が生まれるのかしら?)
卑猥な想像に、乳首がピクリと反応をした。
エリは、貞夫と入れ違いにバスルームに向かった。
鏡に映る己の裸身を見つめる。
(悪くないわ、オッパイも程良く出ているし、お尻も垂れていない。美人かどうかは見る人に寄るけど、可愛いっていう方かな?・・・今まで関係した男たちの筋肉が、脳裏を流れる・・・。いまどき処女を期待されても困るけど、妊娠したことも、病気になったことも無い。まあ、良いんじゃない)