8.再燃-3
着ていた服を脱ぎ捨ててあっという間に隔てるもののない姿に戻った二人はソファの上で激しく絡み合った。
固く抱き合い、唇を重ね合い、誠也は美穂の胸の膨らみに顔を埋め、硬く隆起した粒を咥え込んだ。
ああ、と甘い声を上げ、美穂は仰向けのまま両脚を高く上げた。誠也はそれを両腕で抱え込み、硬く怒張しその先から糸を引く透明な液を漏らし始めていた自身のものを美穂の豊かに潤った谷間に押し当てた。
「来て、誠也君、あの時のように……」
「美穂っ!」
誠也は美穂の身体にのしかかり、熱く脈動しているそれを奥まで進ませた。
悲鳴のような声を上げて目を剥き、顎を上げて美穂は身体を震わせた。
「あたしの中に来て、ああ……」
誠也は腰を激しく動かしながら、また美穂の身体をぎゅっと抱きしめた。
「ああ、誠也君、抱いて欲しかった」
「俺も我慢の限界だった。美穂、美穂っ!」
「あたしもずっとあなたのことを忘れてない! あなたの身体も、何もかも」
ソファががたがたと激しく音を立てた。誠也は美穂の唇を吸った。そして舌を絡め合った。
「貴女を忘れるなんてやっぱり無理だ!」
「来て、誠也君、あたしの中に!」
「もう一度俺を受け入れて、美穂っ!」
「誠也君!」
ぐうっという音が誠也の喉元から聞こえ、美穂は全身を大きく震わせた。その次の瞬間、誠也の動きが止まり、その身体の中心が何度も脈動した。
びゅくっ! どくどくっ!
そして美穂の身体の奥深くに熱く沸騰した激流が渦巻くように流れ込んだ。二人は唇を押しつけ合ったまま、ふるふると身体を震わせ、いつまでも抱き合っていた。
◆
誠也が帰宅したのは夕方の4時頃だった。
リビングのソファに妻のエリが座っていた。
「あれ、早かったんだね」
誠也が言った。
エリは顔を上げて誠也に笑顔を向けた「久しぶりのお休み、ゆっくりできた?」
「え? ああ」
誠也はボディバッグを首から抜いて、洗面所に入った。そして顔と手を念入りに洗い、鏡を見ながら髪を手で軽く整えた。
リビングに戻った誠也に目を向けもせず、エリは言った。「どこに行ってたの?」
誠也は動揺する気持ちを必死で抑えながら言った。「さっきまで本屋にいた」
それは事実だった。美穂との再会と情事の後、彼はそこから車で10分以上も掛かる駅裏の大きな書店に立ち寄り、時間を潰したのだ。
「座って、誠也」
抑揚のないエリの言葉に誠也は素直に従い、彼女に向かい合って座った。
「嬉しい知らせがあるの」
エリは誠也に身を乗り出し、にっこりと笑った。
「あなたにとっては悪い知らせかな」
「え? な、何?」
エリは背筋を伸ばして居住まいを正し、真剣な顔でまっすぐ射貫くように誠也の目を見つめた。「私、妊娠してるの」
全身から血の気が引く思いがした。誠也は目を見開き、言葉を失った。
「近頃階段で息切れするの。今までそんなことなかったのに。脚もむくんでるっぽいし、それに」エリは少し言葉を切って数回瞬きをした。「基礎体温が高温期のまま」
誠也はようやく、しかし絞り出すような声で言った。「それで、び、病院に?」
「そう。あなたには内緒で受診してた。今日は午後からお休みをもらって検査の結果を訊きに。妊娠6週目に入った頃だって言われた」
誠也は青ざめたままうつむき固まっていた。喉がカラカラに渇いていて、何か言おうにも声が出なかった。
エリはふっと笑って言った。「安心して、あなたの子じゃないから」
えっ? と言葉にならない声を出して、誠也は顔を上げた。