6.過ち-1
誠也のパールレッドの軽自動車の後部座席に英明を押し込み、美穂は助手席に座った。
「ごめんね、誠也君」
「全然構いませんよ。叔父さん、そんなに飲んでたの?」
「まあ昼間の披露宴からずっとだからね。男の人はそんなもんでしょ」
誠也の車は今時珍しいマニュアルシフト車だった。
「すごい、この車、シフト車」
美穂が言うと、誠也は眉を上げて言った。「オートマの車は運転の楽しみが半分以下だと思う」
「あたしの免許もシフト車OKなんだよ」
「え? そうなの? なんで?」
「いずれ必要になるかなと思って……」
美穂はそう言いながらシフトレバーに乗せられた誠也の手を包み込むようにして握った。
「いい判断でした」
誠也は頬を染め、照れたように笑って車を公営駐車場から発進させた。
英明と美穂は式から半月後、月が変わってから同居を始めることにしていた。家賃や敷金の無駄を省くためだった。
英明が一人暮らしをしているマンションの合い鍵を使って美穂がドアを開けると、誠也に肩を支えられた英明が中に入った。寝室に運び込まれた英明をベッドに寝かせて部屋の空調を適温にセットし、美穂は寝室の入り口に立っていた誠也に顔を向けた。
英明はベッドに大の字になってすでに寝息を立て始めていた。
誠也は泣きそうな顔で美穂を見つめ返した。美穂は小さくうなずいた。
マンションの駐車場に駐めた車に戻った誠也は、遅れて助手席に座った美穂の右手を取った。美穂はついさっき誠也が見せたような切ない目をすぐ横にいる運転席の男性に向けた。
誠也はたまらず美穂の肩を両手で掴んでその唇を彼女のそれに押し当てた。美穂は口を大きく開いてそれに応え、いつしか二人は激しく舌を絡み合わせていた。
郊外のホテルの一室、艶めかしく真っ赤なベッドカバーをめくりもせず、その上で誠也と美穂は何も身につけず抱き合っていた。それまでの思いを全てぶつけ合うように、二人は何度も口を重ね直し、深く熱いキスを交わした。誠也の手は美穂の豊かな膨らみを乱暴にさすり、美穂は誠也の背中に回した腕に力を込め、爪を立てた。
「誠也君、あたし、もう!」
「美穂さん! 俺、我慢できない」
二人はそう叫んで再びきつく抱きしめ合い、お互いの唇と舌を貪り合った。そして仰向けになった美穂は自ら脚を大きく開いた。
「美穂さん、貴女が欲しい!」
「来て、来て誠也君!」
誠也は大きく屹立した自身を右手で握りしめ、美穂の谷間に押し当てた。そしてその目をじっと見つめた。美穂は目を閉じ大きくうなずいた。
誠也の身体の一部が美穂の体内に入っていく。美穂は生まれてから今まで経験したことのないうねるような快感と身体の中の熱さに翻弄され始めた。
誠也はすぐに腰を大きく動かし始めた。
その硬く大きく、熱を持ったものは何度も美穂の最も敏感な場所を貫き、その度に大きな熱い波が美穂の全身に襲いかかった。
「いやっ! も、もうだめ! イって、誠也君、イって!」
「美穂さん!」
誠也の腰の動きが激しさを増した。二人の全身にはびっしりと汗の粒が光っている。
「も、もうすぐっ!」
誠也が絞り出すような声を上げた。
「イくっ! イっちゃうっ!」
美穂が顎を上げて目を剥いた。
「出るっ! ぐううっ!」
びゅくっ! びゅくびゅくっ!
誠也の動きが止まり、激しい放出が始まった。
美穂の身体の奥深くにマグマのように熱い液が迸り、その熟した空間を満たしていった。