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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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変わり過ぎた未来-3

「風馬君っ!!」
「…若葉ちゃん。」

助けを求めるように自宅ではなく風馬君の家へと直行し、玄関で出迎えてくれた彼を思わず抱きしめる。

「ごめん、本当は放課後真っ先に君の元に駆け付ける筈だったんだけど。」
「ううん!分かってる、困ってる後輩にせがまれちゃー仕方がないよ。」

その一瞬の隙をついて佐伯君は私を半ば強引に。

「辛かっただろう、まずは中に入ろう。」

私を抱き返した後、佐伯君が後を追って来ないか軽くキョロキョロと周り見渡してから彼の部屋に案内され。

「落ち着いた?」
「うん。」

彼が淹れてくれた温かいミルクティーを口にしどうにか先程までの恐怖心と波溢れる不安と怒りが徐々に消え始め。

ミルクティーもそうだが、何より愛おしい人と同じ空間に居る事が安心だ。

時計の針の音だけが休むことなく鳴り響く中、彼がようやく重い口を開く。

「…佐伯君の事は、僕も本当にショックだ。」
「うん…。」

稲葉さんに続いて今度は佐伯君が、困った人がまた一人増える何て。

「…私、怖いよ、いつ彼が追っかけてくるか、それと稲葉さんが、もしこの事実を知って彼とグルになったら…って思うと。」
「若葉ちゃん。」

はぁー、どうして私ばかりこんな辛い目に。

まだお爺ちゃんが亡くなった現実だって完全に受け入れられた訳じゃないのに。

私がそう不安に小刻みに体を震わせると彼は私を包み込むようにそんな不安何か一層するくらい強く抱きしめてくれて。

「大丈夫!佐伯君も稲葉さんもそこまでしないよ!」
「何を根拠に、だって。」
「二人とも悪気はないんだ、僕が嘗てそうだったように。」
「あ……。」

言われてみれば。

稲葉さんは元々一途に風馬君を想ってた、最初に私の家に押し掛けて誤解が解けた時も明るくてとても純粋な子だった、彼女をあんな風にしたのは他でもないこの私だ。

佐伯君だって、今の今までよくしてもらった事を考えれば。

私は少しバカだった、幾らしつこくされたからって一方的に悪者と決めつけて。

そうやって考えを改めたら自分を苦しめていた重りがストンと一気に落ちたようだ。

「大丈夫!僕だけじゃない、一条君に伊吹さんだって居る、今は辛いかもしれないが何れかどうにかなる時は来る、止まない雨はないからね。」
「風馬、君。」
「きっと最後には彼も彼女も改心する、必ずね!だから頑張ろう二人で。」

真っすぐで純粋な瞳で私を励ます彼。

どんな時でも頼りになる、本当に素晴らしい人。

「ありがとう…。」


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