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処女がレイプされてもめげずにスケ番になる話
【制服 官能小説】

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第8話-5


 それから前田悠一の退院の日を迎えて、再び抗争が始まる。
 前田が不在のときに諸橋が一切手を出さなかったこともあり、すぐに旧来の勢いを盛り返し復活を果たす前田の組織。
 始まって間も無く拮抗状態へと持ち込まれた。
 いたるところで起こる小競り合い。
 それもやがて訪れるであろう巨大なカタストロフへの序曲であるのだと、不良少年少女たちは噂しあった。

 そんな中、沙耶香は今日も夜の街を走る。
 出てきた前田には会わない、諸橋ともあれから一度も会っていない。
 ただ荒んでいく街の雰囲気をどこ吹く風に自分のためだけに暴走り続ける。
 沙耶香が離れるに従い、チームも諸橋の組織とは完全に切れた。
 本来は自己の傘下であるはずのブラックロイヤルが事実上独立するのを黙認する風の諸橋。
 もう完全に沙耶香にだけ忠誠を誓う部隊として動き始めていた。

 二つの大勢力が何故かどちらも手を出そうとせずに泰然と存在し続ける不思議なチーム。
 率いるのは黒髪の美少女、駆るのは黒い伝説的な旧車。
 どうしてもその存在の特殊性は若者たちの心に浮かび上がり、黒姫の伝説は広がり続ける。

 二人の男たちがどのような結果を出して、自分がどんな答えをだすのか。
 これからのことは全くわからない。
 ただ今は何もかも忘れたかった。

 鋼鉄の相棒が齎す振動とスピードだけは自分を裏切ることは無い。
 アクセルを廻して内臓している力を解放すると、一気に周囲が後ろに飛んでいく。
 この瞬間もどこかのチームをごぼう抜きに追い抜いたようだが、囃す声もろくに沙耶香には聞こえない。
 体中で大気の抱擁を受けながら己の意識が極限まで研ぎ澄まされていくのを感じる。
 刹那に全てが移り行きながら、ひどく緩慢に自分は認識している。

 ああ、お前はこんなにも強大なものを必死で中に抑えてるんだね。
 もう少し、あたしに貸してくれよ。

 有機物と無機物の崇高な儀式。
 今日も心の契約を交わして魂の在り様を再確認した。

 その外観からは想像もできない、猛々しく高潔で純粋なエネルギーを秘めた存在。
 決して何者にも囚われず、己の信念のためにあらゆる運命の逆境にも反抗できる。
 絶滅寸前の鋼鉄の走行機械と黒髪の美少女はその点においてまさに瓜二つの双子であった。

 漆黒に輝く誇り高き金剛石。

 それが東条沙耶香という不良少女の。


 生き方だった。




 了
 


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