第6話-1
店の奥には個室が設えられており、大きなベッドと調度品が置かれていた。
恐らく女を連れ込んだり緊急時に使うところなのであろう。
そのベッドに座った諸橋から少し離れて沙耶香は立っている。
その表情は毅然としたまま、意思の強い視線を向けている。
「さっさとこっちこいよ。怖気づいたんじゃねえだろうな?」
「てめーらごときにアタシがびびるわけねーだろ。……約束しろよ。前田の妹には手をださねーって」
おもむろに携帯を取り出す諸橋。
「……おぅ、オレだ。前田の妹を狙ってたのは横尾たちだな? すぐにやめるようにいっとけ。別のオンナ奢ってやるってな。もし言うこときかねーようならオレがいくって伝えろ」
切った携帯を放り出し、沙耶香をみやる。
「望みは叶えてやったぞ。……んで? お前はどうすんだ?」
ストッキングに包まれた素足を交互に出し、ゆっくりと近づく。
座る諸橋のすぐ前まで来ると、男の脇、ベッドに片足を乗せた。
上半身裸の筋骨隆々たる男を、セーラー服を着た少女が脚を開いて跨る。
短めのスカートは限界まで広がり、わずかに股間と尻の端を覗かせる。
そのまま裾に手をかけて引き上げると、パンストに包まれたサテンの白いショーツを完全に晒した。
「好きにしな……」
薄く頬を染め、それでも矜持に満ちた面持ちで正面から男を見据える。
たとえ身体を弄(もてあそ)ばれようと、卑屈になるつもりはない。
寧ろ、これまでの自分自身のためだけだった闘いよりも強く硬く心は燃えている。
あの兄妹を守れれば……自分の勝ちだ。
そんな沙耶香の様子に初めて諸橋は感情を面に表す。
ものめずらしい生き物を見るような、絶滅危惧種を見つけたような、興味深そうな顔。
だがそれも一瞬で、すぐに感情の色を消すと目の前にある女の器官を布の上から弄(いじ)りだす。
「ふん。自分が交渉材料になるとわかってるだけあって、確かに見た目はいいオンナだな。……でもすぐに使いモンにならなくなったら興ざめだぜ。オレの後も続くからせいぜい根性みせてみろや」
親指で秘所をこねくりまわされ、ぴくっぴくっと反応しつつ沙耶香は返す。
「アタシをイカセられれば褒めてやるよ。マッポに前田の相手させたやつらもオンナ抱くのは上手いんだってね……」
いきなりずぶっと強く押し込められる。
「うっ!」と固まる沙耶香に凄む諸橋。
「上等だ……。音ぇあげるんじゃねえぞ」
………
荒々しくベッドに倒されると、すぐにパンストを脱がされる。
ディープキスをしながらショーツの脇から入れられた指が激しくピストンを始める。
経験が浅ければ苦痛しか齎さないであろう行為も、卑劣な教師に開発されきった女子高生の健康的な身体は強い刺激を快感へと変換して持ち主の脳へと伝えていった。
ぐちゅぐちゅぐちゅ
やがて水音が響き始めるころには、ブラをとられて乳首も攻められる。
上下から襲ってくる性感に沙耶香は早くも絶頂を迎えようとしていた。
出口に向かう加速度に強張る肢体。
と、いきなり刺激が消えた。
「どうした? ずいぶんいい顔してるじゃねえか」
動きを止め、覗き込むように声を掛けてくる。
隠せない火照りに彩られた顔で、顰めた眉を戻し平静をまとって答える。
「誰が……。テメーは頭だけじゃなくて目もわりーんだな」
男はもうツッパるスケ番を容赦する気持ちはなかった。
再び激しく指を突きたて、乳首を噛み舐める。
少女は四肢を強張らせて腰を上げ始め。
「っっっ!!」
声を出さずに至った。
ビクンビクンと跳ねる身体が落ち着いていく様子をじっくりと男は観察している。
覚悟はしていたが、オーガズムを迎えて悦びに浸る様を見せてしまったことにあらためて悔しさが募るも。
反応が静まっていくのを感じながら崇高な目的のためなら耐えられると、己を鼓舞するのであった。