つよがり〜始まり〜-1
君は心の傷を癒せないまま、人を信じられなくなっていたね。
怯えるように街を彷徨って僕ら出会えたんだ。
きっとすぐにはわかりあえないけど、距離は縮まらないけど、
あせらなくていいから、一歩ずつ僕の近くにおいで。
いつか、しっかりと向き合えたら抱き締められたら
もう君を離さないだろう。
雨が降る6月。
君は居場所を失い途方にくれていた。
行くあてもなく、涙で濡れていた。
出会えたのはきっと同じ匂いに魅かれあったんだろう。
同じ傷をもっていたからだろう。
穏やかに始まった二人。
どこへ向かうのかも知らずに。
君は爪をたてて震えながらしがみついてきた。
守れる自信はなかったけど、君を離したくなかった。
これは情なのか、愛なのか
気紛れな運命なのかわからないけど、僕らの道は重なった。
時々きみは遠くを見る。
過去にひきずられてしまったかのように。
何処にもいかないでって泣き叫んだ夜もあった。
穏やかな顔をして
ぼくの横で眠ってくれる幸せ。
幸せの中でも君は時より現実の厳しさに絞めつけられていた。
重なる前の道で君が落としてきてしまった荷物を探すように。
歩いていこう。
未来へでも、過去へでもいい。
今僕らはともにいる。
消えることない確かな今が幻のように思えて不安になった。
何を望むの。
ほしいものは何。
君がわからない。
でも確かなことは
君が此処にいること。
消えることない確かな
今の事実。
僕の宝物。
あせらなくていい。
ゆっくり顔を上げて。
見えないものを見に行こう。
なくしたものを探しにいこう。
そこで道が二人に別れても
君が笑ってくれるなら。
ぼくも笑っていられるから。