第4話-1
沙耶香は既に長期戦を覚悟していた。
何も手がかりが無い状態で小さなメモリースティックの場所を特定し、奪い取ることが非常に難しいことは自明であった。
男が何度も求めてくるそのたびに。
わずかな示唆を、漏れ出る手がかりを見逃さずに拾い集め。
己の自由と尊厳を手に入れるしかない。
あとは陵辱のたびに身を焼く官能の炎に我を失わず。
思春期の感じやすい精神が悲惨と無明に、もろく壊れないように保てばいいだけである。
白いプリーツのテニススコートの下、ブルマに包まれた尻を揉みしだかれながらディープキスをしている状態で沙耶香はそう改めて自分に言い聞かせた。
正面から抱かれるような体勢で既に数分。
体育教師の舌に己の舌を絡めて、互いの唾液を交換する。
口腔に入ってきた舌を唇でやさしく包み前後に動かす。
差し出した舌を男が同じように口に含み、その中でねっとりと愛撫される感触に震える。
尻が手指の淫らな動きにしたがって変形するままに、官能を誘発されていく。
ブルマの下のショーツはとっくに湿っていた。
今日の体育の授業はテニスであった。
素行が悪いろくでなしの一員と思われていようと授業には出ている。
未だ人生を投げ切っていない沙耶香にとって、留年や退学などもっての外である。
秋の肌寒さにえんじ色の長袖ジャージの上着を羽織った白いテニスウェアとスコート姿で授業に臨む。
足元は転校前の学校で流行っていた、紺の生地に人馬のワンポイントマークが入った脛丈のソックス。
邪魔にならないよう、ロングの黒髪はポニーテールにした。
そして1ゲームを済ませて、待機時間を迎えた沙耶香を呼ぶ声は体育教師のものであった。
倉庫の備品を整理するのを手伝うように言われて素直に従う様は模範的な教師と生徒の関係そのもの。
しかし倉庫に入ったとたん始まったのは、聖職者にはありえない淫行、女学徒にはなしえない不純であった。
「次のお前の試合が始まるまでに済ませろよ」
唾液の交換とボディタッチですっかり反応させられた沙耶香はフェラチオをするよう指示される。
男のジャージに手をかけて、下着とともに一気に露出させる。
勢いよく飛び出した屹立に手を添えて、一気に飲み込んだ。
時間をかけるつもりは全く無い、最初から知る限りの性技を駆使して放出を促す。
プロとも散々経験がある壮年の体育教師にとって、未だ女として始まったばかりの女子高生の動きはつたなく、その技巧は決して高いものではなかった。
しかしその若さと美しさ、孤高な気位の高さを持つ不良娘に猥褻な奉仕をさせている実感が激しく昂ぶらせる。
肩膝を立てて跪き、スコートから伸びる細く健康的な太股の間からブルマを覗かせる光景に欲情をかきたてられる。
いつしか華奢な頭をつかんで激しく腰を前後させる猪熊。
沙耶香は音を立てて勢いよく出入りする男根に対し必死に舌を絡める。
やがて男は硬直し、全身を覆う快感と開放感に満たされる。
うめき声とともに少女の喉奥へと粘度の高い液体が放出された。
ペニスがびくびくと動くたびにびゅっびゅっと噴きこまれる感触に眉を歪めるが、じっと男の反応が終わるまでまつ。
そして沙耶香はスコートを汚さぬようゆっくりと肉棒を口から出し。
ごくりと全て飲み込んだ。
遠く、次の試合をする生徒を呼び出す笛の音が響いていた。