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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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復帰、そして新たなる波紋-3

お母さんに説得されて、せめて野菜売り場の所までは出れた。

「お爺ちゃん…。」

今立っている位置でその彼が仕事をしている様子がイメージとして湧く。半被に袖を通し手をパンパンさせ野菜や果物を片手に安いよ安いよーと声を張り上げ常連客に囲まれ大変だけど何処か楽しそうだった。

今はまだ経営者が亡くなったばかりで今すぐ母が営業再開出来る程甘いものでもなくガラーンとしていて当然のごとく無人で、常連客の主婦の方々も心配そうで。

何気に振り向くと浴衣を身に纏った私の姿が写ったポスターを目にする。

「これで売り上げも上がる事間違いなし、だーーはっはっはぁ。」

以前私が縁日へ向かう際に来た浴衣にお爺ちゃんが大絶品し、そのまま嬉しさのあまりにこんな物作っちゃって。

最初はうっとおしいとしか思わなかった物だけど、今見ると…。

お爺ちゃんが亡くなったのはとても悲しい、でもそれ以上に私が彼の為に何もしてやれなかった事、その事ばかりが悔やんでも悔やみきれず。

「出来ればあの時に戻りたい、戻って、そして…。」

私が一杯動いて働いて彼をラクさせる、そんな理想を思い描き僅かながら良い気分に浸るも現実とは無情なもの。

「………。」

街がシーンと静まり返り、店を通り過ぎる足音とカラスの鳴き声だけがただただ空しく響き渡るばかりで。

こんな風に後悔していつまでもうじうじしてばかりでは駄目ね、学校だって。

学校?

それを思い返し、風馬君の事を考える。

「…きっと心配してるんだろうな。」

今朝はあんな事言っちゃったからな…。

ポケットからケータイを取り出し、早速彼に今朝の謝罪メールを送ろうと思った、がその時私の前に一人の人物が近寄って来て。

「風馬君?」

と、思ったけど現れたのは意外な人だった。


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