碧の茶会-2
タクシーでホテルに向かう途中、男は堪えきれずに碧の唇を吸った。
碧の舌と唇は幼いが、男の差し込んだ舌に絡みつく情熱は信じられないほどに淫ら。
色っぽいため息を漏らしながら、男の首に手を回して躯をくねらせる。拒絶どころか、こんな積極的な色情に身を任せる少年はもちろん初めてだ。その首筋からは幼児のようなミルク臭いほのかなフェロモンが漂い出る。その香りに、男は酔った。
男が碧のビロードのような手触りの太ももを愛撫すると、碧の指は男の股間を這い、男の昂まりを確かめる。その仕草は手慣れた売女そのもの。
ついさっきまでの無垢で穢れのない少年が、街角に立つ娼婦も顔負けの淫売に変わり、男を挑発する。
その信じがたい変貌に、男もまたケモノとなって少年の肌に吸い付いた。
「うふふ、お兄さん、ケモノ?」
「そ。俺、スイッチ入っちゃったよ」
「ボクに、あんっ。ボクに、ヨクジョウ?……ヨクジョウした?」
碧は悩ましげに首を反らし、男の耳たぶを甘噛みする。まるで狂った果実。
「最っ高さあ。これから碧ちゃんの桃尻に突っ込むと思うと滾っちゃってっ」
「うふふふっ、うれしい。ボク、褒められちゃう」
「誰に?」
男の口から糸を引いて唇を離し、妖しく碧は微笑む。
「ないしょ」
シティホテルではなく、「出来るだけ怪しくて、出来るだけ下品なラブホテル」をリクエストしたのは碧。またもや少年は男の想像を超える。
その挑発に乗った男は、期待に胸を躍らせ、陰茎を滾らせた。
ホテルの部屋に入るなり、男は片手で抱き上げられるほど華奢で小さな躯に吸い付く。
部屋はついさっきまで乱交でもあったのではないかと思える程の湿った空気に包まれ、色欲を煽る事だけを目的にした安っぽく淫靡な部屋の調度が、未成年どころかまだ小学生の男児を「連れ込んだ」罪悪という禁断の味のこの上ないスパイスとなる。
「わあ、お兄さん、がっついてる」
「そんなに煽るからだっつーの」
スモックを引きちぎるように脱がすとカットソーの下は素肌。
その躯は男の淫らな想像を軽く超えた。
乳首は淡い透き通るようなベージュ・ピンク。
華奢ではあるが、健康的な躯には程良く筋肉がつき、余分な肉は一切ない。
ショートパンツを剥ぎ取ると、下腹はうっとりする程滑らかで、可憐な臍のすぐ下にまで可愛らしい陰茎が張り付いていた。
「お前だってもうこんなにしてんじゃん。バリ勃ちっ」
「ボク、いつでもハツジョウチュウだもん」
男の下ろしたカーゴパンツの中から出てきた昂まりに、碧の指が淫らに絡みつく。
「はああっ、お兄さんも、バリ勃ちっ!逞しいのっ、ステキッ!」
桃尻は目も眩むような絶品。幼い双丘が飢えたように波打ち、潤んだ半眼のまなざしで挑発してくる。男は負けじと少年の躯の隅々まで確かめようとして、妙なものに気付いた。
「あれ?どしたの?これ。……酷いね」
碧の。その美しい双丘の上、背中に引き攣れた火傷の痕が暗い照明の中に浮かび上がった。
まだ完治には至っていないだろうその傷は、少年の幼く穢れない肌には似合わない無惨なものだった。まるで小さな蛇が這ったように刻まれた火傷。
「あ。ここにもっ……」
脇の下から背中にかけて、もうひとつ。
それは磨き込まれたグランドピアノに振り下ろした後の疵痕。それは聖なる物が穢されたような罪深さを感じさせる悪しき気配に満ちていた。
「ん。気にしないで。残念だけど、ボク、新品じゃないの」
「誰かにされた。虐められた、の?」
「気に入らない?ボク、じゅーぶん、その気だけど」
上目遣いのその表情は、思いもよらない失望に当惑する子供そのもの。
物凄く可愛い。たまらなく、愛らしい。
男は甘い、甘い声で囁く。
「そんな事ないよ。碧はこんな傷ぐらいで汚くなる子供じゃない。そうだろう?」
「ん、嬉しいなっ。じゃ、たくさん、たくさん愛してね」
その表情をなんと表現したらいいんだろう。男は本気で少年を殺したいと思った。この極上のショタを、失うぐらいなら殺してしまいたい。
碧は腰を男の身体に押しつけ、その可愛らしいペニスを擦りつけながら上気した頬を紅く染めて30センチは身長差のある男の顔を見上げた。
少年のペニスが男の手の中で踊る。
たまらず男はそのキュートな陰茎にしゃぶり付こうとしゃがみ込む。
ところが碧は男から突然逃れると、ラブホテルならではのけばけばしい巨大ベッドに倒れ込んだ。