碧の水浴-4
板敷きのテラスのすぐ横に太い松の木を井形に組んだキャンプファイアーが熱を放つ。
碧は顔の反面にその熱を受けながら首を捻る。
仰向けに両手が板に打ち付けられた皮の拘束具は本格的だ。
四人の男たちと一人の女は全員全裸。まるで中世のサバトのよう。
イケメンが手をこすり合わせて何か黒い粉をアルミホイルの上に集め、オカマがスプーンをアルコールランプで炙っている。腐女子が大瓶に入った錠剤をみんなの口に放り込み、親分は手鏡の上で剃刀を使っている。
これは知っている。
ああああ、これ、麻薬だ。それにイケナイお薬。地獄と、天国に逝っちゃう、あれっ。セックスがすっごく良くなって。すっごくすっごく良くなって何回も何回もキゼツしてっ、どんどんどんどんキモチヨクなってっ、きりがないやつっ。これすると、アブナイ。アブナイのっ。
あ、ホースって。咥えるの?ん。んん。むーーーっ、げふっ、けむりっ。あ、たくさん。たくさん吸っちゃった。なにこれ。このけむり。ハシシ?
あん、それ、鼻ですうやつ。鏡の上に並んでいるやつ。でも、すっごく多くない?はい。はいいいいいっ。持てないけどっ、ストロー。
すうっ。
あ、お注射です。お約束ですか?あははは。
ちがでたりーーーー
ちがはいったりーー
ちがでたりーーーー
ちがはいったりーー
ぽんぴんぐ。
あ、すぐ来ました。どん、どん、キテます。ボク、キテ、ますっ。
「いい顔になって来たじゃない。すっごい、この子、本物の淫乱ビッチよおっ」
「これだけ綺麗な男の子、レアなんてもんじゃないわっ!撮影班っ」
「やってるよお。超高解像度、録音は念のためDBXも」
「ローションは?人数も居るし回数もあるかならの。たっぷりこの、ヌルヌルっと」
「入れたローション、媚薬入れといたよんっ」
「とりあえず、みんなで蟻さんになりましょう」
れろれろ。ぴちゃぴちゃ。
オカマが少年の鼠蹊部を嘗め回し、親分がほんのり肋骨の浮いた横っ腹をくすぐり、しゃぶる。
イケメンは首筋と肩、耳たぶを襲う。
腐女子は足首を乳房で挟みながら指の付け根に舌を入れる。
覚醒剤でとりわけ敏感になった碧の肌には、それぞれがビリビリと電流となって全身を駆け巡る。
拘束された手首を痛めながらも、碧は罠にかかった獲物のようにもがき、狂う。
細く、あるいはしゃくり上げるように、コテージに少年の嬌声がこだました。
「あら、この子、蜜が出てきたわよ。先走りね」
「じゃ、もう食べちゃっていいぞ、そのチョコレート」
「てへっ、じゃ、お先にーーーっ、あむっ」
オカマの舌は「スプリット・タン」。手術で舌の先を左右に分けた特別製。
それは蛇の舌のように人間離れした動きで碧の陰茎を絡め取った。
まるで自分の中心が溶解する、とてつもない快感が碧を追い詰める。腐女子は手を伸ばし、細い革の糸で輪を作り、陰茎の根元を巧みに縛り付ける。
「これでもう出せないから。逝きたくても逝けないから。ふふふ、泣きなさい。喚くのよ、地獄の底まであなた、イケナイ男の子」
「なんか、複雑な洒落じゃのお」
「すっごいのよ、この子の、張っちゃって、膨らんじゃって、逝きたいのにイケナイの」
「きゃははははは」
「ぎゃははははは」