碧の序奏-3
「アアアッ……と、とけるのっ。ボクが溶けちゃうのっ!し、ん、じゃうっ!」
フレディの腰に抱きついて狂い舐めながら、突かれた瞬間に悪夢の壺に飲み込まれる三重の快楽。
それは相乗効果となって、碧の躯を火に炙られた肉のように焦がす。
「凄っ!すっごいのっ!もっと、もっと、ちょうだいっ……もっとおっ!」
狂乱に打ち震え、躯をまるごと性器に使われた碧は今にもヒューズが飛びそうだ。
大きなカリで肉を捲られ、地獄の釜のような壺に飲み込まれ、灼熱の怒張は喉を灼く。
尻と陰茎からは淫水を撒き散らし、涎は泡だった先走りと共に顎から垂れ落ちた。
絶頂の予感に碧は打ち震え、ほとんど叫びに近い嬌声を上げた。
「ちょ、ちょうだい、アツイのっ、いっぱあいいいいいっ!注いでッ!注いでッ!お腹にも、お口にも!いいいいいっ、いっぱいッ!いっぱい出してっ、おねがいッ!」
最初に巨漢の男が碧の内蔵に間欠泉のような精を放つ。
巨漢の男は射精が終わっても抽送を止めることなく、碧の腸液もろともに精液を掻き出し、コンクリートの床にこぼれて生臭い池を作り出した。
「…あ、ああああッ!…や、やけ、るッ!お、オナカっ…アッツイっ!」
フレディは碧の頭を抱え込んで、強引に喉深く突き刺して噴水のような射精で碧の呼吸を奪う。
「イクッ、イクッ、いきますっ!……でるっ、出るッ!ぜんぶ、全部出るッ!」
最後に碧の精巣から噴き出した白蜜がゲイ友の喉に搾り取られた。
ヒューズが焦げて焼き切れた碧は、絶頂の引き潮の中に漂う。
汗で化粧が溶け、アイラインの黒い涙を流し、ルージュは乱れ、ショートカットの髪は頬に張り付いていた。
とっくに膝は折れ、四つん這いになったまま腰だけを高く持ち上げている。
瞳はわずかに開き、濁った白眼を剥いて、四肢は投げ出されたまま。
捲れ上がった淫門はいまだ収まらない怒張を咥えたまま、痙攣が止まらない。
陽射しに隠れた冷たいコンクリートに棄てられた、壊れたセックスドール。
なのに。
三人とも終わる気配がない。
律動は止まらない。
むしろ、これからとばかりに抽送は激しく、イマラチオは荒々しく、萎えた陰茎を咥えた唇は根元に吸い付く。
絶倫。三人も。
しかも人間を淫の奈落に突き落とすことを生業としている、本物の悪魔たち。
その果てしない予感に呆然とした碧の視界に、人影が映った。
見るからに飢え乾ききった、変質者にしか見えない青年が股間を揉みながら立ち尽くしている。
その反対側には眼鏡をかけた、一目でそうとわかる腐女子が目を皿のようにして覗き込んでいる。
生け贄、だけじゃない。晒し者。
喰われ、蔑まれ、弄られる玩具。
碧は壮絶な快楽と恥辱に心から慄えながら、白濁した樹液にまみれた躯を開いた。
※
宵闇に沈む井の頭公園の遊歩道。
帰宅を急ぐOLである彼女はスマホのLINE着信に気付くとホームボタンを押した。
バックライトに浮かぶ文字を読んでいる時、今は廃墟同然になった野外音楽堂の裏手に響く、奇妙な鳴き声を聞いた。
ここから動物園までは距離があるのに、そこで聞こえるのは獣の唸り声と甲高い嬌声。
鳥?夜だから蝙蝠?