碧の晩餐-1
夏休みも中盤になって、碧のダディとマムは遠くロンドンに飛んだ。
今頃はヴァージン・エアの機内で甘ったるい英国料理を食べている頃だろう。
碧の両親は揃ってブリティッシュ・ロックの大ファンで、今回はロンドンやリヴァプールを廻ってくるそうだ。
碧はまだ2年先とはいえ、有名進学校の中等部を受験する。そして受験を控えた受験生の夏はイコールで「勝負の夏」である。
そこで。毎日専任の家庭教師の家に通うより教師の誠の提案を受ける形で、およそ二週間の「短気集中授業」という事に決まったのが昨日の夜のこと。
暮れなずむ森のシルエットを見つめながら、碧はナイフとフォークを皿の上に丁寧に置いた。
ケータリングだけど、誠のチョイスは洗練されていた。特に緑色のパスタにキャビアをまぶしたスープは、はしたないとは思ったけど、最後の一滴まで啜り込んでしまった。
広い多目的リビングの、ごくありふれた食後のひととき。
蛍光灯を嫌う誠の趣味はアンティークなランプを模した照明で、淡いオレンジ色の光は品の良い部屋の調度をしっとりと落ち着かせている。
ただ、その光景は少しばかり風変わり。
男と少年は何ひとつ身につけていなかった。
「食後のデザートをベッドでどう?」
誠が指さした先には、窓際に置かれたクイーンサイズの樫木の黒いベッドが横たわっている。
ベッドは取り散らかっていた。
白い麻のハーフパンツやニーハイソックス、小さすぎる下着。シーツは乱れに乱れ、濡れた染みのそばには丸められたティッシュが撒き散らされている。
そこには濃密な性の気配に満ちていた。
「ん、でざーと。いいかも」
立ち上がった碧の下腹部にはすでに勃起した陰茎が張り付いている。
そして、太腿の内側には白濁した粘液が垂れ下がっていた。
顔は少女と見まがうばかりのユニセックス。髪も女子のショートカットに近いが、一流のヘアサロンの仕事であろうそれは別格の気品が漂っている。
くっきりとした二重の瞼から覗く瞳は漆黒。睫毛は濃く長く、その表情は凛々しい。
その肢体は伸びやかで、小柄なのに妙に大人びた雰囲気を漂わせていた。
誠は子鹿のような碧とは対照的で、浅黒く日焼けした肌と引き締まった身体はサーファーの証明だ。
ベッドの上で腕を首の後ろに回してリラックスした誠に歩み寄った碧は、フローリングの床に膝を落とす。
目の前には太い静脈がトッピングされた逞しい「デザート」がそそり立っていた。
「じゃ、食べちゃいますっ」
碧は髪を払い耳にかけると、瞳を閉じて口を開き、幼い舌を差し出した。
大きな亀頭を口に含み、ピチャピチャと猫がミルクを舐めるようにして舌を使ってから、一気に深く飲み込む。
「んー、あむっ。あまーい、ですっ」
「碧はこれが大好きだな」
「はむっ、おっきい、のっ、好きっ」
怒張の棹に舌を這わせ、玉袋を甘噛みするうちに、碧は瞳を睡たげに彷徨わせ、表情を淫蕩な娼婦のそれに変える。
「碧はこれでなきゃダメかい? 他の男のチンポが出てきたら咥えちゃう?」
碧は舌を絡めたまま、一瞬考え込んだ。
「ん、たぶん、そう」
カリの裏側に吸い付いて舌を転がしながら囁く。
「咥えちゃう」
「淫乱ビッチの碧ちゃんは誰のチンポでも食べちゃうのね」
「ボクをこんなにしたの、センセ」
誠はペニスを咥える淫乱少年の細腰をつかみ、そのままベッドの上に転がした。
仰向けになった碧に誠の身体がのしかかり、碧はそれに応えるように手足を絡める。
「ああん。毎日っ」
「そう、寝る間もなく」
「そんなにっ、そんなにたくさん」
「腰が抜けるまで集中授業」
「し、してっ」
両脚を担ぎ上げられた碧は、陰茎から淫門に至る秘部を全て晒される。
その無防備な体位に碧は期待に目を輝かせた。
とっぷりと暮れた空に浮かぶのは死神の鎌、クレセント・ムーン。
その銀の光に照らされた二つのシルエットが一つの塊へと変わる。
「ああん、すっごい、イイッ」
碧の瞳が虚空を泳ぎ、さくらんぼの唇が戦慄く。
「どん、どん、よ、く、なるのッ、どう、してッ?」
「もともと碧の躯が淫乱なんだよ」
「アアアッ、どんどん、よ、良くなって、き、り、が、ないのッ」
屈曲位という体位のせいか、いつもより激しい交接が、たび重なる淫交で暴かれた少年の性感をとめどなく加速させる。
胃袋を手づかみにされているような底知れない恐怖、灼けつく肉の悦び。
無我夢中で腰を前後左右に振り回し、怒張がちぎれる程に喰らい尽くす。
「デザートの味はどう?」
「すっごく美味しいのっ。たまんないのっ。アッ!そこッ!」
「ふふ、ここ、碧の急所だね。じゃ、ここ虐めちゃう」
「あんっ、あんっ、あ、あ、し、ん、じゃ、ああううッ!」
直腸の中に潜む小さな「しこり」、前立腺をこれでもかと突かれて碧は悶絶し、髪を振り乱して誠の逞しい身体を抱き寄せた。