第一話:不安-4
授業が終わると、安藤は何を思ったか、理科室で父兄懇談会をすると言いだし、母親達を残して、私達は教室へと戻されました。授業が終わったものの、懇談会が終わるまで、私も健二も帰るに帰れない状態でした。佐藤、黒岩、武藤、中野は、旧校舎の噂など知らないようで、授業を終えるとさっさと帰って行きました。
私と健二は、取り敢えず旧校舎へ続く渡り廊下で、母達が出てくるのを待っていましたが、旧校舎から出てくるのは、授業を終えた三年の生徒達ばかりで、母達は一向に出てくる気配は無く、午後五時を過ぎました。私は、不安な心を少しは落ち着かせようと、健二に話し掛け、
「お、遅いなぁ?」
「アア・・・」
「大丈夫かなぁ?」
「安藤も中に居るんだから、大丈夫・・・だと思う」
健二はそう言いながらも、どこかソワソワしていました。私は健二に再び話し掛け、
「なあ、ここで待っててもしょうがないから、旧校舎の中を見に行かないか?」
「そ、そうだな・・・行ってみるか」
こうして、意を決した私達は、恐る恐る旧校舎に近付きました。入り口には、リーゼントをした二人の先輩が立って居ました。一人は私達よりも背が低く、もう一人はヒョロヒョロしていました。先輩達は、ジロリと私達を睨み、
「何だ、お前ら!?」
「い、いえ、この中に僕達の母が居るんで、一緒に帰ろうかと・・・」
私が恐る恐るそう告げると、二人は顔を見合わせニヤリと笑い合い、
「そうか、お前達の母親が居るのかぁ・・・良いぜ、入りな」
「そうだな・・・」
意外な事に、先輩達はすんなり中に通してくれて、背の低い先輩が一緒に付いて来ました。歩きながら、先輩は私達に話し掛け、
「なぁ、お前ら童貞だろう?」
「「エッ!?」」
「童貞何だろう?」
「「は、はい・・・」」
私と健二は、戸惑いながらも童貞だと先輩に教えると、先輩は馴れ馴れしく私達の肩に手を回し、
「良かったなぁ、お前らは今日で童貞卒業出来るぜ?」
「エッ!?ど、どう言う意味ですか?」
私が先輩に問い掛けると、先輩はニヤニヤしながら直ぐに分かると言い、私達は階段を登り始めました。二階まで来ると、何か叫び声のような声が聞こえ、私と健二は顔を見合わせました。三階に到着すると、私達にはその声が何を意味するのか、直ぐに理解しました。
「イヤァァァ、もう、もう止めてぇぇ」
「テメェら、こんな事して・・・ンンン」
三年一組の教室の中からは、女性の泣き声、叫び声、怒鳴り声、そして歓喜の声が聞こえ、廊下には他クラスの前まで机と倚子が乱雑に並べられて居ました。先輩が三年一組の教室のドアを開けると、思わず眉根を顰めるような匂いが漂って来ました。更に先程聞こえた声が、一層ハッキリ聞こえて来ました。
「さあ、中に入れよ」
先輩に促され中に入った私達は、教室の中で五人の母親達が、服を脱がされ、30人ぐらいの先輩達に、輪姦されて居る姿を目撃したのです・・・