傷つけ合いな学校祭-9
「いやー楽しかったね。」
「あぁ、俺のお気に入りの曲が演奏される何て。」
「今CMでも良く流れているよねー、私も大好き。」
ステージでのライブを楽しんだ私達はステージから離れ取りあえず辺りを歩く。
「にしてもお前こんな時までドーナツかよ。」
「良いじゃない!こんな時だからだよ。」
大好きな人の隣で大好きなドーナツ……、大好きな、人?
「でも残念だなー、今日で最後何て。」
「一兄、もう仕事なの?」
「あぁ、寂しくて仕方ねぇーよ。」
「私もー。」
「…なら辞めようかなー、今にでも辞表を。」
「えっ!それは駄目だよー。」
「けど、こうでもしないとお前に会えないだろー、だったら。」
「一兄。」
「……。」
深刻そうな顔、私はある話を切り出す。
「ねぇ。」
「ん?」
「本当なの、私の事好きって、親戚だからとかでなく。」
「……。」
私だってそこまで鈍くないし。
「……本気、だよ。」
「え。」
「お前に会えるって分かった時どんなに気持ちが舞い上がったか。」
「一兄。」
「若葉、本当ならこのままお前を何処かへ連れ去りたい、それも誰もいない所に。」
「……。」
「………、でもそれは無理な話だよな、お前とは従兄妹同士。」
「そうだけどっ!」
「行ってやれよ、お前が本当に好きな奴の所に。」
「っ!!」
咄嗟に風馬君、彼の顔をが脳裏に浮かぶ。
「一兄。」
「俺も新しい恋を見つけるさ、まっ当分先になるだろうけど。」
「……。」
「ほらっ行けよ、……また会えるからさ。」
穏やかな顔、私は意を決して風馬君を探しに地面を蹴るように走り出す。
その背中からちくちくとこそばゆい視線を感じつつ、私の本当に好きな人の元へ行く。
ゴメン!風馬君!!